item2 虚空の額縁(Ⅳ)
続きです。
新キャラ登場です!
魔法ギルドの受付はダンジョン攻略で持ち帰った魔導具の鑑定待ちの冒険者や併設している学園の学生たちで賑わっていた。
『マスターの格好はやはりこのような場所には合いませんね。出かける前に身なりを整えるべきだったと思われます』
「服を着替えないお前に言われる筋合いはねぇな……」
煤汚れが染み付いた革のベストと、鉄の匂いが染み付いた指先。
周りは頑丈そうな鎧を着た者やパリッとした学生服を着た将来有望な者たちばかりだったが本人は一向に気にする様子もない。
場違いな「油と鉄の匂い」を振りまきながら、アルドは受付のカウンターに肘をついた。
「おい。愛用の機織蜘蛛の織針が、少し……いや、かなり見た目が変わっちまった。一度、中まで診てもらいたいんだが」
アルドがぶっきらぼうに伝えると、書類を整理していた若い受付係の女性が顔を上げた。彼女の瞳が、アルドの名を聞いた瞬間にパッと輝く。
「あら、アルドさん! お久しぶりじゃないですか。地下の工房に引きこもりっきりだって聞いてましたけど、生きてたんですね!」
彼女はクスクスと笑いながら、手慣れた手つきで魔導具の受付票を取り出した。
「アルドさんのこととなればうちの研究員たちは放っておきませんからねー。彼ら、アルドさんのことが大好きですから!すぐに主任を呼びますね!」
彼女は呼び出し用の魔導ベルを勢いよく鳴らした。その音は、まるで「とっておきのご馳走が届いた」と知らせる合図のように、ギルドの奥へと響き渡った。
「やあやあアルド氏……!お久しぶりですなぁ!おや?以前会ったときよりも……老けましたな!やはり人間と長命種では成長速度に差が出るとはいえここまで大きくなるとは……!」
「ルビィ……。前に会ったのは半年前だろうが……。いつの話をしているんだよ」
白衣の裾をバタバタとさせながら、1人の女性研究員がアルドに詰め寄った。彼女の名はルビィといい、「魔法ギルド技術開発課」の主任でありながら、アルドのスキル「万物の聴手」に心酔する重度の魔導具オタクだ。
「いやはや失敬!どうも長命種だと半年前なぞ1時間前のようなものでして……。それに、アルド氏とも中々お会いしませんでしたからな!……それで本日はどのようなご要件で?もしかしてピアスの調整ですかな?」
ルビィが身につけている瓶底のように分厚いメガネがキラリと光った。アルドが身につけているピアスの調整を夫婦がルビィに託したこともあり、彼女はアルドのことをとても気にかけているのである。
「いや違うな……コイツを診て欲しいんだ」
「ほうほう……こちらは一体……?」
「機織蜘蛛の織針だ。詳しいことは歩きながら説明する」
今日から毎日投稿になりました!
また、現行の「氷の令嬢〜」が終わり次第、毎日12時に時間変更します!
こちらはかなりゆっくりな進行となるので、のんびり読み進めていただけると幸いです!




