item2 虚空の額縁
えー、12話構成の予定でしたが、本文が思ったよりも長いので分割して投稿することにしました。
みんな読んだでしょ。1話〜2話のクソ長い文。自分でも読んでてびっくりしたもの。
当時の私の考えは「骨太な一本を書くぞー!」だったってことです。
読みやすさを重視しなかった私のせいです。すみません。
なので、1話につき2000〜3000文字にしました!
しばらくは1日おきの投稿となります
5つのエピソードってのは変わりありません!
ということで今日から新エピソードです!
黒い鏡「レイ」が起動してから数時間。
アルドは夜通しでレイを修復していた疲れからか仮眠を取っていた。
レイからも『3時間後にアラームを設定しました』と訳のわからない単語の説明があったが、定時になると起こしてくれるらしい。
(……界外遺物は俺の知らないことばかりだな……)
微睡みの中でそう思った瞬間、脳内に直接突き刺さるような、無機質な高音が響いた。
ピピピピ……ピピピピ……
『――設定時刻です。マスター、起床してください。これ以上の睡眠は、本日の作業スケジュールに遅延をもたらします』
「……うっせぇ。分かった、起きる……」
アルドは重い瞼を持ち上げ、作業台の上で淡く発光する『レイ』を睨んだ。
夜中、耳から出血するのではないかと思いながら必死に魔力の糸を紡いだのがまるで昔の出来事のように思える。
「今、昼か……?」
『現在の時刻は午前11時5分です。こちらの世界に日付、時刻を設定しています』
「11時だと……?おい、時間間違えてねぇか……?」
『マスター・アルド。アナタは午前8時に3時間のアラームを設定しています。起床に5分かかっていますので間違いはないかと。間違えているのであればマスターの体内時計と思われます。適度な食事、仕事、睡眠を推奨します』
「……ふん。余計なお世話だ」
アルドはふらつきながらも汲み取っていた水で顔を洗う。水の冷たさが寝ぼけていた意識を現実に引き戻していく。
もともとあまり剃らない髭は昨日よりも伸びており、気になる長さになっていた。雑に潤滑剤を顔に塗りたくり髭を剃る。
ザリ……ザリ……と小気味いい音をたてながら鏡に映った機織蜘蛛の織針を見た。
(形が戻ってねぇな……。あの遺物も動いてるし、夜中の出来事は夢じゃ無かったのか……)
鏡の端には、作業台に転がされた『異形の鉄筆』が映っていた。
かつての鋭い織針の面影はない。先端は熱を通しやすいよう太く平らになり、まるで鉄を焼き付けるための、出来損ないの筆のようだ。
「……チッ。繊細さの欠片もねぇな」
アルドはぶっきらぼうに吐き捨て、潤滑剤でヌルつく顔をタオルで雑に拭き取った。
『マスター・アルド。アナタは自身の身嗜みには無頓着ですが、仕事道具に関しては繊細さを求めるのですね』
「……お前、馬鹿にしているだろ……」
レイからの慇懃な態度と織針の形を不思議に思いながらも「仕方ない」と割り切り、昨日買ってきた戦禍の残骸を直そうとしたその時。
「よお、アルド! 生きてるかぁ!? 」
地下への階段を叩く、遠慮のない足音。
静寂だった工房の空気が、一気に騒々しく塗り替えられた。
階段を2段飛ばしで降りてきたのは、案の定フェインだった。
「うわっ、また油臭ぇな! 少しは換気しろよ。……お前、ちゃんとメシ食ったか?」
「……用がないなら帰れ」
フェインは昨日気まずくなった空気を作ったこともあってかアルドの様子を見に来たようだった。だが、いつもの調子の彼を見て安心した表情を見せる。
アルドは『鉄筆』を腰のホルダーに差し込み、ぶっきらぼうに追い立てるが、フェインの目は鋭く作業台の上を捉えた。
「んん……?おいおい、昨日オレがやったガラクタ光ってんじゃん!直したのか?」
フェインが興味本位で淡く光る鏡を触ろうとしたその瞬間。
『マスター・アルド。こちらの失礼極まりない方はマスターの知人ですか?』
「どわーっ!しゃ、喋った!?」
フェインは鏡から音が出たことに驚き後退る。
「……ただのうるさいコソ泥だ」
「何だよー!コソ泥じゃねーわ!ちゃんとした傭兵だっての!……はー……すげぇな。マジで。愛好家に売ったら金になるな。てかこれ何で喋ってんの!?」
フェインは慎重に観察をした後、レイに危険がないと判断したのかペタペタと触り始めた。
『マスター。こちらのコソ泥は過度な接触をされる方なのですね。声の調子、態度から推測するに異性への接触もこのように軽薄で常に玉砕していると考えます』
「ほう。よくわかったな」
「ちょっとアルドさーん!?」
アルドは少し楽しそうな顔を見せる。フェインは「やれやれ……」と思いながらもカウンターへ乱雑に食糧や酒を置いた。
「……フェイン。これは……?」
「あー……なんだ。昨日の詫びだよ。ガラクタ渡してお前に迷惑かけたからな……。だけどさ、鏡が直っていてさ、改めてお前すげぇな……って思ったわ」
『鏡ではありません。ワタシはレイです』
「……あぁ、そうか。レイ、だな。……悪かったよ」
フェインは調子を狂わされたように後頭部を掻き、気恥ずかしさを隠すように背を向けた。
「じゃあな、アルド! その食糧でちゃんと腹膨らませろよ。……また、面白そうな界外遺物拾ったら持ってくるわ!」
ドタドタと階段を駆け上がっていく足音。扉が閉まる音が響くと、工房には再び静寂が訪れた。
『マスター・アルド。コソ泥兼傭兵フェインを人物リストに登録しました。彼の去り際の表情から「敬意」を直接伝えることに、過剰な負荷を感じる個体だと推測されます。……要するに、面倒な性格ですね』
「……お前に言われたかねぇよ」
アルドは少しだけ緩んだ口角を指で拭い、フェインが置いていったパンを一つ手に取った。
いかがでしたかー?
「万物の聴手〜」は「氷の令嬢〜」と違い、ギチギチに詰めてるしルビ振りが多いです。
ファンタジーだからね。しょうがないね。
ここでちょっぴりキャラ設定(見た目など)
アルドが無口ぶっきらぼうなのは某格闘ゲーム「ギル◯ィギ◯」の主人公を大いに(?)参考にしました。
外見イメージはエヴァン◯リオンの加持です。
性癖だよチクショー
レイはこっちもエ◯ァンゲリオンかと思いがちですが違います。月◯の双子メイドが近いのかも?
見た目は決めていません。だってAIだもの……
というわけでしばらくは1日おきの更新に変更となります!
「氷の令嬢〜」も是非お願いしますね!




