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アストラル・ライブラリの番人

星界の最深部、全ての知識が結晶化して漂う《アストラル・ライブラリ》。 キマリアの前に現れたのは、かつての探査隊の服を着た、母・小淵沢報瀬……いや、母の姿を模した**「星界の防衛システム」**だった。


「……お母さん?」 キマリアが声を震わせる。だが、その瞳に光はない。 システムとしての「母」は、冷酷な声で告げる。 「星界の知識は、地上に災いをもたらす。ここに来た者は、全て情報として凍結されねばならない。キマリア、あなたも、あなたの仲間も」


母の姿をした番人が放つ、圧倒的な魔力の奔流。 ソラや結月が吹き飛ばされ、アルビレオ号の船体すらも結晶化し始める。


一方、地上の瓦礫。 星月は、新生した魔導銃ピッコロッソを構えていた。 「……神月、ターゲットロックだ。星界の神殿にある『偽りの記憶』を撃ち抜くぞ」


葉月が星月の背中を支える。 「キマリア、怖がらないで。お母さんは、そんなに冷たい人じゃなかった。オレたちが知ってる『小淵沢さん』を、あんたの心で思い出して!」


地上の二人が放つ「真実の光」が、通信を介してキマリアの魔導杖に宿る。 キマリアは、襲いかかる母の幻影を避けることなく、真っ直ぐに飛び込んだ。


「……お母さんは、世界を守るためにここに来たんだよね? 私を捨てるためじゃなく、私が生きる世界を守るために!」


キマリアが母の幻影に触れた瞬間、システムがエラーを起こし、膨大な「母の記憶」が流れ込んできた。 そこにあったのは、星界の寒さの中で、幼いキマリアを想いながら綴った、届くはずのなかった数万通のメッセージログ。


『キマリアへ、今日のご飯は何かな』 『キマリアへ、背は伸びたかな』 『キマリアへ、大好きだよ』


「……う……うあぁぁあああ!」 キマリアは、母の姿をした結晶を強く抱きしめた。 それは戦いではなく、何年も、何万キロも超えて届いた、親子の抱擁だった。


母の幻影が、優しい光となって霧散していく。 ライブラリのシステムが正常化し、星界の暴走が収まった。


「……さよなら、お母さん。……私、もう大丈夫だよ」


キマリアが顔を上げると、そこには母が最後に残した、地上へ帰るための「唯一の航路図」が輝いていた。


だが、安堵したのも束の間。 ライブラリの崩壊を狙い、地上の黒幕──アドニムーン機関の総帥が、自ら星界へと転移してきた。


「よくやった、小娘。システムを初期化したお陰で、コアは今や無防備だ。……星界の全てを、我が手に!」


次章『黒い太陽と、最後の注文』 物語はついに、地上と空を飲み込む最終決戦へと突入する。

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