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タバコ屋で働く学生のお話  作者: 竹子


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7/32

七本目

薫もバイトに入っていない日は、密かな楽しみがあった。それは、音楽を聴きながら飲み歩きをすることだ。

近くに大きな川があるので、コンビニで缶を買い、その川沿いを練り歩く。時間はだいたい22時から始めて朝3時くらいまで。これが彼の「何も考えなくていい時間」のもう一つの形だ。

何となく、感覚が鈍る瞬間を楽しんでいるのだ。

今日はバイトが休み。

一缶目は、ビールのロング缶を選んだ。最初はこうでなくちゃ。コンビニの前で「プシュッ」と気持ちのいい音を立てて開けてから、飲みながら歩き出す。

異常かもしれないが、薫はコンビニ一つ一つに勝手に名前をつけている。以前、ベンチと灰皿があるコンビニで2時間くらい買っては飲んでを繰り返していたら、店長らしき人に怒られてしまった。そこからそのコンビニは「(店長の名前)のコンビニ」と名付けることにした。それを共有する相手もいないのだが。

そうこうしているうちに、一缶目が飲み終わった。

二缶目を買おう。一缶目がビールだったので、二缶目はサワー、ハイボール、日本酒、何でもありだ。前の種類と被らなければ、飽きずに飲み続けることができる。

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数時間後

普段、タバコは何十本も吸わないが、お酒を飲むとタバコを吸いたい欲が強くなる。

(今日はせっかくだし、働いているタバコ屋の喫煙所に行くか)

シラフだったら、バイト先の人に会うのが気まずくて絶対にいけない。だけど、今日は酔っ払っているので、ブレーキが効かない。

缶を持ちながら、若干よろめきつつ、タバコ屋へ向かった。

タバコ屋のスタンド灰皿にたどり着いた薫の目に飛び込んできたのは、しゃがみ込んでタバコを吸っている優衣の姿だった。

時間は、なんと朝の2時。いつもの22時台よりずっと遅い。こんな時間に優衣がいるのは珍しく感じた。

「……何やってるんだあ、優衣ちゃんー」

優衣はイヤホンをしていたが、声をかけられたことに気づき、びくりと肩を震わせた。彼女は驚いて顔を上げる。

薫は完全に酔っ払っていた。いつもの冷静さはない。顔は赤く、声も呂律が怪しい。

優衣は驚いていた。だが、その驚いた顔はすぐに、少し安心した顔に変わった。

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