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タバコ屋で働く学生のお話  作者: 竹子


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4/38

四本目

大学の今日の最終授業が終わった。

今夜は飲み会ではなく、サークル内でも最近話すようになったメンバーでの「ごはん会」だ。

優衣は教科書をバッグにしまいながら、何となく物憂げな顔をしていた。

学科の友達に別れの挨拶をし、待ち合わせ場所へと向かう。待ち合わせのカフェの前に、サークルの同期である萌衣メイツムギが立っているのが見えた。

優衣は歩調を早め、合流するやいなや、スイッチを入れるように笑顔を張り付けた。

「萌衣!髪型変えた? すごく似合ってる!」

声のトーンはワントーン高い。優衣は常にテンションが高い。しかも、人のことを持ち上げるのも得意だ。

「ありがとう! そうなんだよね! よく気づいてくれた!」

萌衣は嬉しそうに、整えたばかりの毛先を揺らす。

優衣は次に紬の腕を掴んだ。

ツムギもネイルいつもと違うね! おしゃれすぎるわーまた彼氏でもできた?」

優衣の質問は、いつも核心を突く。

「そうそう! 3日前から付き合い始めてね」

紬は少し照れながらも、「いいでしょう」と言わんばかりの得意げな顔をする。薬指の新しいリングが光った。

「いーなー私も彼氏欲しいなー」

優衣は心底羨ましそうな顔を浮かべる。その表情は完璧で、演技だとは誰にも気づかれないだろう。

「やっぱり日々の努力かな。服装も美容も気を遣ってるし。他の人以上は努力してるかも。学生生活さあ、恋愛しないとか、青春をドブに捨てるようなもんでしょ?」

紬は自信満々に、人生の真理でも語るかのように話す。優衣はそれを「そうだよねー!」と笑って受け入れた。

萌衣が話題を引き取る。

「優衣は彼氏とかできたことあるっけ?」

優衣は一瞬、顔から表情を消しそうになったが、すぐに自虐的な笑いを浮かべた。

「一度もないよー」

「嘘ー! そんな人いるの?」

萌衣は心底驚いた顔をする。優衣の容姿は、彼氏がいないことを許さないくらい整っているからだ。

「優衣はモテるじゃん! 絶対選り好みしすぎてるだけだよ!」紬が言う。

「かなあ?(笑)」

優衣は話を逸らすため、萌衣に尋ね返した。

「萌衣はどうなの?」

萌衣は指を折って数える仕草をした。

「えーっと、今まで元彼は4人かな。一番長く続いて一年半!」

「一年半かあ!すごいね!」

優衣は感嘆の声を上げた。彼女たちの会話は、どれも眩しいくらいに「正しい青春」の型にはまっている。

その会話の間中、優衣は絶え間なく笑い、相槌を打ち、褒め言葉を繰り返した。しかし、彼女の心臓は、いつもと同じように冷えたままだ。

(疲れたな。このテンション、いつまで持つのかな)

心の奥底で、誰にも聞かれない小さな声が呟く。

「青春をドブに捨てる」――彼女たちの言葉は、優衣の心に、焦りのような、あるいは強い拒絶のような感情を呼び起こす。自分もその輪の中にいるように振る舞うため、優衣は今日一日分のエネルギーを、既に90%以上使い果たしていた。

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