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タバコ屋で働く学生のお話  作者: 竹子


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13/33

十三本目

バイトが終わり、薫は裏口から外へ出た。時計は朝の3時10分。

暗い店の前で、人影があった。

それは、ついさっき「17番」のタバコを買った、白いモコモコのコートの女の子だった。彼女は壁に寄りかかり、スマホをいじっている。

(うそ、わざわざ待ってたのか?)

薫は気まずさで体が硬直した。昨日の記憶がないせいで、謝罪すべきかどうかも定まらない。意を決して、昨夜のダル絡みの可能性に対して、まず頭を下げた。

「昨日はすみませんでした!」

すると、その女の子は顔を上げ、不思議そうに首を傾げた。

「何で謝るの?」

「え、だって、酔っ払ってて知らない人に声かけてしまったと聞いたので……」

「声かけられてないよー」

彼女はきっぱりと言い、少し間を空けてから、呆れたように付け加えた。

「第一、そんな人じゃないでしょ?」

その言葉に、薫はハッとした。

確かに。なんか違和感があると思った。いくら酔っ払っても、知らない女の子にしつこく声をかけるようなことはしない……はずだ。

「あの公園に、あんな時間にいて、一人で缶飲んでる人珍しいなと思って」

女の子はそう言って、笑った。

(なんだ、俺の恥はダル絡みじゃなくて、ただの深酒か……)

緊張が溶けた薫は、いつもの律儀な自分に戻った。

「あ、すみません。僕、煙山 薫って言います。お名前お聞きしてもよろしいでしょうか」

「堅っ! そんな敬語使わなくていいよ。同い歳なんだしさ」

「なら使わなくていいですね」

薫は即座に敬語を解除した。

「ん? 同い歳?」

「また敬語使ってるしー」彼女はくすくす笑う。

「あの、結局、名前は」

薫が再度尋ねると、彼女の顔が一気に険しくなった。

「忘れるなんてひどいよ!!」

急に顔を真っ赤にして怒り出した。あまりの豹変ぶりに、薫は「やばい人じゃん。パ◯◯ロでもそんな急に調子変わらないぞ」と思いつつも、心当たりがないか、必死に昔のことを量子コンピュータの如く振り返る。

(今眠いからそんな脳みそはないです。見栄張りましたすみません。ていうか量子ってなんだよ)

頭の中で自問自答を繰り返す。えーっと。

「あー!思い出した!同じそろばん塾にいた子だ!」

その言葉で、彼女は一転して、喜んでいる様子だった。

「で? 名前は?」

にっこりしているが、目は笑っていない。すごく怖い。

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