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タバコ屋で働く学生のお話  作者: 竹子


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一本目

俺は煙山薫(大学2年生)。今日もいつものように、近所のタバコ屋で夜勤のバイトをしている。大学1年の春からここで働いていて、夜の9時から店が閉まる朝3時まで、週5でカウンターの中に立っている。扶養が超えそうになったらシフトを減らす。大学1年の時もそうした。

何となく、この生活に飽き飽きしてきたところだ。

周りの連中が「青春」とやらを謳歌している間に、俺はこうして夜勤をして、昼夜逆転している。学校は性格上、ちゃんと行って単位は取っているが、それだけ。特に何も誇れることはない。

俺自身、タバコを吸ったことはなかったが、店先のスタンド灰皿に吸いに来る客を眺めて人間観察をするのが日課だった。

彼らはそこで、一時的に、世界から切り離された顔をする。そんな「何も考えていない時間」を垣間見るのが、俺の唯一の楽しみだった。

だけど、決して話しかけたりはしない。俺は自分の空間を邪魔されるのが嫌いだし、彼らのわずかなプライベートな空間を邪魔してしまうのも、何となく気が引けるからだ。

大学1年の時、勢いで入った軽音サークルも、楽器の才能のなさに1ヶ月であっさり退会した。そのせいで大学内に中途半端に顔見知りがいて、むしろ気まずいまである。まあ、向こうは俺のことなんて覚えてないだろうが。

今日もまた、ひとり、またひとりとタバコを吸いにくる人を眺める。

今日は、俺の誕生日だった。

メッセージアプリを開くも、朝2時の時点で誰からもきていない。予想はしていたので、別に落ち込むことはないが、全く心に来ないわけでもない。今日で20歳になる。

そう思ったら、もう2時50分。片付けの時間だ。スタンド灰皿を店舗の中に運ばなければいけない。

その時、ふと、ある考えが頭をよぎった。

俺もタバコを吸ってみよう。

健康に良くないのはもちろん知っている。でも、好奇心というものは、俺にもまだ少し残っていたらしい。目の前でタバコを吸う人たちは、何に惹かれているんだろう。そんなにいいものなのだろうか。その疑問が、どうしても頭から離れなかった。

一本だけ、吸ってみた。銘柄は、タール6の「グッドスパーク」。中くらいか、少し弱いくらいのタール値で、初心者の俺にはちょうどいいと思った。

タバコを口にくわえ、ライターに火をつける。先端に火の粉が見える。確か、息を吸うんだったか。

勢いよく吸い込む。

「っ、ごほっ! ごほっ!」

強くむせてしまった。

みんな、こんなものを吸っていたのか。衝撃だった。全く慣れないものの、見よう見真似で吸ってみる。

しかし、一向に良さはわからない。ただ頭がほんの少しぼんやりするだけ。

こんなものにハマるはずない、と、この時は確かに思っていた。

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