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結婚式


 レオと想いを確認しあった数日後、正式な成婚の話が上がって冬が明けた春にレオと私は婚姻を結ぶことになった。

今日はウエディングドレスの完成品を見てから、アクセサリー職人に頼んでいた品を見ることになった。


レオと一緒に広間に行くと、職人が早速鍵付きの箱を取り出した。

その箱に入っていたのはお揃いのリング。

イリス王国には結婚指輪という物が存在しない。

それどころか、指輪すらないため私とレオで1からデザインをした。


王子の妃になる者が何も成果を出さないわけにはいかない。

そのため、婚約指輪を広めようと思う。


「エリサ様のご所望のリング、というのはこのような物でしょうか?」

「はい。着けてみてもよろしいかしら?」

「ぜひ」


左手の薬指に通した。

すごい。ピッタリだ。

レオも気に入ってくれたようで嬉しそうに笑っている。

夫婦でお揃いの物を身に付けるのはこの世界にはない風習だ。

そもそもお揃いという風習自体が存在しないに等しい。


「どうして今までなかったのだろうな」

「そうですね」


指輪のデザイン案を渡して、これからこのリングを元にシンプルなねじれの入ったリングを作ってもらって名前と記念日を彫ってもらうつもりだ。



婚姻は国王陛下の前で婚姻を結ぶ2人が愛を誓うのが主流だけど、私達は結婚式を行う。

お世話になった方々を招いて、その方たちの前で愛を誓う。

そのため、式場は王宮の大階段の前の広間だ。

当日のシュミレーションをしながらレオと大階段を降りた。



「エリサ、レオ。少しお話があるのだけど、今お時間いいかしら?」

「はい」

「海を越えた異国では婚姻を結ぶときに誓いの口づけをするそうなのだけど、婚姻式の参考にしてちょうだい」

「………はい、」


王妃様は広間を出ていった。

それにしても、誓いの口づけ。

レオの方を見ると視線が合った。

すぐに目を逸らして、私も広間を出ていった。




純白の生地にたくさんのレースや花の刺繍がしてあるウエディングドレスを身に纏って、レオに初めて贈ってもらったネックレスとイヤリングをつけてメイクやヘアセットをしてもらって式の準備は完璧だ。


控え室で鏡を見ていると、ドアが叩かれてレオが控え室に入ってきた。

王子としての衣装を纏って、銀色の髪をあげて綺麗な青い瞳で私のことを見つめていた。

今日は一段と、王子様だなぁ。


「レオ、カッコいいね」

「ありがとう。エリサもすごく綺麗だよ」

「嬉しい。ありがとう」


そして、婚姻式が始まった。

レオと腕を組んで大階段を降りて、招待客の席を通って国王陛下の前に行って挨拶をする。

陛下は私とレオを見比べて優しく笑みを浮かべたあと、キリリとした表情を作った。

すると、国王陛下の隣に立っていた側近が一歩前に出た。


「これから、イリス王国第二王子レオンハルトとエリサ・ユーウォレンタの婚姻式を始める。婚姻の誓い」


私とレオは顔を見合わせて、陛下の方を見た。


「私エリサ・ユーウォレンタは、どんなときもレオンハルト様を信じ、側で支え、生涯愛し続けることを国王陛下と皆様の前で誓います」

「私レオンハルトは、命に代えてもエリサを守り、彼女が笑顔でいられるように最善を尽くし、生涯愛し続けることを国王陛下と皆様の前で誓います」


盛大な拍手に包まれた。

これまでの定型文で言えば名乗った後に生涯愛し続けることを誓いますという言葉だけだったため私とレオはそれぞれで誓いの言葉を考えた。

だから、レオの誓いの言葉を聞いたのは今日が初めて。

恥ずかしいけど、やっぱり嬉しい。


「指輪、交換」


ブラックがリングを運んで来てくれて招待客はブラックが持っているリングに目が釘付けになっている。

私とレオはブラックからお互いのリングを受け取ってレオの左手の薬指にリングをはめて、今度はレオが私の左手の薬指にリングをはめた。


レオと顔を見合わせると、自然と笑みがこぼれた。

そのまま、レオの指に自分の指を絡めるように手を握って額を合わせた。

すると、レオがゆっくりと私に顔を近付けて口づけをした。


誓いの口づけはレオに任せると伝えていたから、するかしないかも分からなくて私も少し驚いてしまった。

だけど、ゆっくり目を閉じた。


離れて顔を見合わせると、少し照れくさくて笑ってしまう。


招待客は驚いて固まっていたけど、数秒後拍手が聞こえてきてだんだんと大きくなっていった。


それから無事に婚姻式を終えた。

本当に幸せな時間だった。

レオ、本当に愛しているよ。



 〜〜〜〜〜




正式に婚姻を結んで6年が経った。

私は王太子妃となったため、ユーウォレンタの名を取った。

エルリック義兄様は4年前に婚姻を結ばれた。

相手は、ミューラエル様だ。

どうやら、ミューラエル様は義兄様にずっと想いを寄せられていたみたいで私とレオが婚約してから少しずつ好意を伝えてられて義兄様も想いを寄せるようになったそうだ。


そして貴族社会に広まった婚約指輪をさらにお二人が広めてくださった。


今日は昼食後に、レオと一緒に子ども部屋に行った。

子供部屋には長い銀髪にエメラルドの瞳をした女の子と薄い水色の髪に碧い瞳の男の子と乳母がいる。


「お母様!お父様!私が摘んだお花です。どうぞ」


5歳の娘、ルノーエルがブーケを私とレオにくれた。


「ありがとう、ルノ」

「執務室に飾らせてもらうよ」


すると、3歳の息子のキュレイントが私とレオの手を引いた。


「ちちうえ、ははうえ、来て」

「レイ、どうしたの?」

「おじうえからもらった」


レイは私とレオの昔の魔画像(写真のようなもの)を指で指した。


「こ、これは、私達が預かっておこうかな」

「ダメ」

「レイ、だけどこの写真は」

「お母様、持っていかないで」


可愛い顔でそう言われても、幼い頃の私がレオの頰に口づけをしている魔画像なんて子供部屋に置いておくのは気が引ける。

レオはそれとは違う理由で没収しようとしているのだろうけれど。


「ルノ、レイ、その魔画像とこれを交換してくれる?」


私は2人に絵本を渡した。

2人は少し渋りながらも魔画像と交換してくれた。

良かった。


「エリサ、そろそろ執務に戻らないといけないよ」

「もう?ルノ、レイ、また夕食でね」

「いい子で待っているんだぞ」

「はい」

「いい子で待ってる」


2人に手を振って子供部屋を出てレオの執務室に行ってカイルにホットミルクを淹れてもらった。

私はレオに支えながらゆっくりとソファに腰を下ろした。


「エリサ、体調は大丈夫?」

「うん」

「次の冬にはレイもお兄ちゃんだね」

「レイならきっといいお兄ちゃんになるよ。ルノも2人も下に兄弟がいたらさらにしっかりした子になると思うな」

「私もそう思うよ」

「だけど、この子が産まれたら手一杯になるかもしれないから今のうちに2人には存分に甘えさせてあげたいの」

「そうだね。だけど、私がいないときに今日みたいに無理はしないでね。」

「うん。無理するときはレオの目の届く範囲でするよ」

「私がいるときもなるべくしないでね」


レオは苦笑して、私を抱きしめた。

子宝には恵まれて、3人目を身ごもったのはもう半年以上も前のことだ。

ルノとレイにはまだ話さない。

イリス王国では産まれる一月前に話すのが一般的。


お腹をさすって微笑みながら、レオの顔を見るとレオは微笑んで私に口づけをした。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました

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