第91話 墜ちていく英雄たち2
「司令部、まずいです。群れの一部がこちらに向かって方向を変えました。このままだと完全な回避は難しいです。」リーダーは再度指示を仰いだ。
「なに!?わかった。交戦を許可する。ただし最小限の戦闘に済ませ、早期に離脱せよ。」
「わかりました。」そうリーダーは答えると再度方向を変え、こちらに向かって飛んでくる群れに対して攻撃態勢をとることにした。
戦闘機の大きさは幅、全長共に10mほどであり、目の前の怪獣達よりも少し大きい程度であった。重さはおそらく数倍以上あるのだが、それでも相手は少し小さい程度の戦闘機くらいの大きさであり、正面からの衝突は間違いなく重大なダメージを負うことになるのは間違いなかった。
戦闘機は機銃を打ち、前方の怪獣を薙ぎ払う。そのような攻撃を予想していなかった怪獣達はよけることなく弾丸の嵐にさらされ、穴だらけになり落下していく。10羽ほどが倒されたところで群れが上下左右に割れて真ん中に通れる穴が出来た。その穴を編隊は通り抜け、再度旋回し残りの群れを攻撃しようとした。
だが、通り抜けようとした瞬間に信じられないことが起こった。なんと上に逃げたはずの怪獣が急に下方向に落ちてきて、その内4羽が2機の戦闘機にぶつかったのだ。この時パイロットはだれも気付いてなかったが、上に逃げた怪獣の内数羽が下にいた怪獣にわざと体当たりし、戦闘機にぶつかるルートに押し出したのだ。
ぶつかった怪獣と戦闘機はきりもみ回転し、落下していった。ただ、直接見えはしなかったが二人とも操作を完全にできなくなる前に脱出装置を起動できており、上空に打ち出されパラシュートを開くことに成功していた。
「三好、風間!!!」リーダーが視界の端で落下していく戦闘機を見ながら叫ぶ。
「隊長、大丈夫です。2人とも脱出に成功しました。」開いたパラシュートを確認できた隊員が2人の無事を確かめていた。
だが、先ほど分かれた怪獣達はすぐさま転回し、すでに開いたパラシュートにぶら下がるしかない隊員たちに殺到していた。旋回し、怪獣の群れに相対したパイロット達が見たのはバラバラになったパラシュートの破片が地上に向かって落ちていく様子だけだった。
「くそ、離脱するぞ。牽制しながら群れの左側を突っ切るぞ!」リーダーがそう指示をだし、機銃を打ちながら群れを攻撃する。
今度は群れの真ん中ではなく、左側に大きな穴が開き、群れの左方向には怪獣がいない状況を作れた。戦闘機はその穴を攻撃を受けることなく通り抜けることが出来た。全速力で戦闘機は交戦エリアを離脱する。
怪獣達はすぐさま転回し、あとを追う。だが、戦闘機の速度は怪獣をはるかに上回っており、数分で群れを置き去りにすることに成功した。
そうして彼らは大切な戦闘機、そして大切な仲間を失いつつも、基地へと帰還することに成功した。




