第87話 開いた地獄の蓋
何が悪かったのかというと、複数の要因があった。今まで全く存在が確認されていないこともあったし、物理学的に存在が難しいという理由もあった。だが、あり得ることと思って監視する目を空にも向けるべきだったのは間違いないだろう。
基地に帰る途上のパイロット達は日の出が始まる東の空を見つめながら、物思いにふけっていた。作戦の成功、深夜から始まった任務による疲れ、N市の被害などの様々なことを考えながら、一路基地へと向かっていた。
だが、その時ふと視界の端、白から赤へと移り変わる東の空に何か黒いものが見えた。気になりそちらを向き、確認してみる。すると、上り始めた太陽を背に、何か黒い塊のようなものが上下に揺れ動いているのが見えた。
一体何だろうか?彼らは司令部に自分が見たものを報告しながら、自分たちが見ているものが何なのか、目を凝らしてみた。複数の黒い塊、おそらく20個はあるだろうか。だが、よく見てみると1つ1つの塊はその形をうごめくように変えているようだった。なんだろうか?そう思っていると、一人のパイロットが大きな声を出した。
「鳥の群れだ!多分とても大きい!」そう言われ、他のパイロット達もさらに目を凝らして見てみる。
うごめくように形を変える黒い塊、その構成物一つ一つは中心から左右に広がる紐のようなものを突き出していた。たしかに、形は正面から見た鳥の影のようだった。そして黒い塊の逆行を遮られた部分を見つめると、確かにぼんやりと鳥の頭や胸のようなシルエットが見えたのだった。
「司令部、指示をください!」編隊のリーダーが指示を仰ぐ。
「東に旋回し正体の確認を行なえ。ただし交戦は禁じる。武装も燃料も足りない。報告後帰還せよ。」司令部から指令が入った。今回の作戦で戦闘機に実装されている武装、燃料は最小限であり、正体のわからない生物との交戦は不可能だと判断したのだ。
「了解。今から東進し、正体の確認を行います。」そうリーダーは答えると編隊に指示を行い、東の方向に旋回し、鳥の群れに向かって戦闘機を走らせた。




