第86話 地獄への道
何が悪かったのかというと、それは判断を間違っていたせいだということになるのだろう。由美や隼人と再会できたことがうれしくて判断を間違えてしまっていたのだろう。
健太はA市の方に向かって車を走らせていた。瓦礫をよけ、崩れた道路を避け、通れる道を通っていたら自然とそうなっていたのだが、それでも他の道を探し、O市の方に向かうこともできたはずだった。だが、彼もどちらに向かうの正しいのかわからず、ただ進める方に無目的に進んでいたのだ。
今や彼らはA市に入り、工業地帯の方に向かっていた。健太達は車の走っていない道を法定速度を守らず、信号を守ることなく走り続けていた。そして気がつかぬままに怪獣たちの群れに近づきつつあったのだ。彼らは工業地帯から1.5㎞程離れたところにいた。
白み始めた空を見つめながら、由美はこの先どうなるかを不安に思っていた。先ほどまで幸せに包まれていたが、安全な状態になって今後を考える余裕ができてから不安が心の奥底で首をもたげてきたのだ。部屋はおそらく大丈夫だろうが、避難生活がどれほど続くことになるかがわからない。健太の仕事もどうなるかもわからない。
その時、まだ暗闇に包まれた西の空に飛ぶ何かを見つけた。そちらに注意を向けると、それが戦闘機だということがわかった。健太にそのことを話そうとしたが、その時に戦闘機から何かが投下されたのに気がついた。小さな何か。彼女にはその正体がわからなかったが、数秒で身をもって味わうことになった。
その小さなものが建物に隠れ、見えなくなった瞬間すさまじい火柱が遠くで立ち上がり、数秒遅れてすさまじい轟音が聞こえた。そしてそれと同時に衝撃が車を襲い、車はコントロールを失ってガードレールに衝突してしまった。




