第85話 駆除作戦3
緊急発進した6台のF-2はA県に向かい暗闇の中上空を飛行していた。現地にはすでにヘリコプターが数台到着し、上空からマシンガンで怪獣の群れを攻撃し、工業地帯への追い込みを行っているはずだった。現在群れは横方向に約600mまで縮小し、2000頭ほどが進撃の途中で脱落、または死亡したと考えられていた。残った怪獣たちも体が欠損し、動けなくなり死ぬまで走り続けている。
何がそこまで彼らを駆り立てたのだろう。パイロットはそんなことを考えながら操縦桿を握り、一路作戦地点へと向かうのだった。
ヘリコプターに乗り、群れの側面からマシンガンで群れを攻撃している航空自衛隊員は弾丸の雨にさらされ次々と脱落していく怪獣たちを見ながら疑問を抱いていた。
まるで追い立てられるように走り続ける怪獣達。その群れの形を変え、今は横方向に500mほどまで縮まりながらなお進撃を続けていた。なぜここまで必死に走っているのだろうか?そう考えてはいたものの、答えが出ることはなく、工業地帯が見えてきた。群れは今や工業地帯に収まる程度の大きさになっており、作戦はうまくいっていた。
ヘリコプターはいったん離脱する。自分たちには爆撃後、うち漏らした怪獣たちを上空から攻撃する指令がでている。そして群れは工業地帯に衝突。中に張り巡らされている道路にその形を合わせながら変形し、進み続けた。そして、今や工業地帯の内部に群れのすべてが吸い込まれていった。
暗闇を引き裂くようにF-2が迫る。もうすでに群れは工業地帯の半ばまで侵入していた。空気を引き裂く音に気づいた怪獣たちが空を見上げる。目標をとらえたパイロット達が爆弾を投下した。重力に引かれ地に落ちる爆弾が12発。それらは想定した通りの位置にすべてが着弾し、すさまじい爆発を引き起こした。遠くから見てもわかる火柱を白み始めた暗い空に巻き上げ、すさまじい轟音と衝撃波を周囲に生み出しながら炎は工場と怪獣たちを飲み込み、砕いていった。
すこし進んだところで旋回し、次の攻撃の必要性を司令部に問いているいるパイロット達は焼け野原となった工業地帯を見た。爆撃は工場地帯の約8割を破壊し、それに巻き込まれた群れはほぼ全滅していると判断された。司令部は駆除は成功したと判断し、航空機に帰還命令をだした。
その指令を聞いたパイロット達は作戦の成功を内心で喜び、まだ上る直前の太陽に照らされた山岳を見ながら基地へと帰還するために進行方向を変更した。




