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第69話 駆除作戦2

怒気をはらんだ怒鳴り声が作戦本部に響き渡る。


「このような作戦が許可できると思っているのか!あの工業地帯がS市にとってどれだけ大切かわかっているのか!」総理大臣が幕僚長に向かって声を荒げる。


 会議室のモニターには怪獣が街を蹂躙しながら進む画像が映り、そのモニターをコの字に囲むように机が設置されていた。総理の横には自衛隊幕僚長、防衛大臣が座り、その他の閣僚も出席できるものはそこにいた。


「もちろんです。ただ、現状あの数の怪獣を歩兵で駆除するのは不可能です。仮に今から戦車隊を含めた歩兵を派遣するとしても、現地の状況を考えれば4時間以上到着に時間はかかります。その間に怪獣はS市を縦断することが可能でしょう。S市は海に面していますから、あの怪獣たちが集団入水でもしない限りはそこで左右にばらける形になります。そこからは2面作戦になってしまいます。」幕僚長にとってもこの作戦は苦渋の判断ではあったが、表情には出さず冷静に答えた。


「だがしかし、自衛隊が国民の財産に対し弾を向けることとなる。それは・・・」総理は勢いを失っていたが、まだ決心がつかない様子であった。


「総理、幸いにもあの地区はほとんど住民がおらず、その住民もすでに退避が完了しています。このチャンスを逃すと人的な被害が大きくなるのは明らかです。」防衛大臣が総理に対し発言する。彼の顔は鬼気迫っており、その真剣さが伝わってきた。


「だが、S市の財政、そして雇用における工業地帯の重要さはわかっているだろう。何か他の手段はないのか?」総理はまだ他の方法がないのかと粘る。この2年間常に厳しい判断を下すことになってきたが、今回の判断は今までとは比べ物にならない。私有企業の財産である工場群を自国の兵器で吹き飛ばすことになる。


「総理、あの怪獣は1頭に対し3人以上の人員を当ててやっと駆除できる化け物です。現状それだけの怪獣に対抗できる兵力を集めるとしても、それは明日の昼以降にならざるをえません。その間にどれほどの被害が出るか予想がつきません。現実的ではないです。また、戦車を使用した場合もっと建物、人的被害が大きくなる可能性があります。そしてそれで駆除しきれる保証はありません。」幕僚長が冷静な声で付け加える。


「総理、決断の時です。本作戦が最も安全で、人的被害が少なくなる作戦です。あの場所以外だと住宅地での作戦決行となり、避難も間に合わないと考えます。どうかご決断を。」そう防衛大臣は続ける。元々総理よりも1期前に議員となり、様々な役職を担ってきた防衛大臣の発する圧は強く、総理に重くのしかかっていた。


「わかった。作戦を承認する。直ちに実行に移すようにしてくれ。」総理大臣は自分に向けられた圧、つまりは国民に対する自分の責任に押しつぶされそうになりながらも、決定を下した。彼はこれから起こる攻撃を、今までの人生で最も固い表情をしながら見守ることにした。


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