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第65話 男の話1

 健太は自分の人生に対し真剣になれなかった。


 小さいころから優しい父と母に囲まれ、愛情を受けて育ってきた。やりたいことはやらせてくれたし、両親は考えられる限りのチャンスをいろいろと与えてくれていた。

 彼は初めてやることはスポーツだろうが勉強だろうがなんでも頑張ったし、大体のことは何でもできるようになっていった。


 だが、それだけだった。


 どれだけ努力してもある一定以上にはならず、スポーツは才能がある友達にいつの間にか追い抜かれていたし、勉強でもいけて中の上であった。それは年を経るごとにはっきりとしていき、中学に上がるころには彼は努力することに対する諦観を覚えていた。

 何事もほどほどに、辛くない程度にやって怒られない程度の結果を手にする。時々少し頑張って少しいい結果を手に入れ、ほめてもらう。

 サッカーも、何もやっていないのは手持無沙汰で、かといって読書なんかの文化活動は性に合わなかったからやっていただけだ。大学もそうで、なんとなくみんな行っていたから行くことに決めたし、親も大学に行くのが当然だと思っていた。学部も特に興味がなく、なんとなくで決めた。結局これまでの人生はただ友達と過ごすことの楽しさを優先し、毎日を消費するように生きてきた。



 

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