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第50話 避難所の戦い 第1作戦の終わり

 田上が中を覗き込む。中は暗くて何も見えない。そう思ったが、ふと何か光るような点が空間に散在しているのに気がついた。そのうちに目が暗闇に慣れ、少し輪郭が見えるようになった。そして今まで自分が見ていたものが何かを理解した。

 それは怪獣の眼球が月あかりに反射したものであった。彼らは口々に何か棒や玉のようなものを加え、それを咀嚼していた。地面には何かのかけらや塊、ロープのようなものが所々に散乱しており、その周りを怪獣たちが囲んでいるようだった。怪獣は全員がこちらを見つめており、まるで自分と目が合ったようだった。いや、実際目が合ったのだろう。奥の怪獣がすっと立ち上がった。


 田上は自分の判断を後悔し、猛然と扉を押し始めた。体育館の奥から何かが動き、走り始めるかのような音がし始めた。その音がだんだんと大きく、そして増えていく。下田も同タイミングで扉を押す。たっぷりと慣性がかかった扉が軋みながらゆっくりと閉じ始める。遅い。今や彼らは先ほどまで悲鳴を上げていた脚を使って地面をけり、肩を押し当て扉を閉めようとしていた。もう少しで閉まる。彼らは最後に残った力を振り絞った。

 猛烈な足音がもうすぐのところまで迫った時、扉はしまった。下田が閂をかけ、田上が即座に錠前をロックした。その直後扉がすさまじい轟音を上げ、振動した。田上も下田も跳ね飛ばされ地面に倒れてしまった。

 彼らはすぐに顔を上げ、扉を見る。壊れてはいない。それからも何度か衝突音がしていたが、なんとか扉は持ちこたえているようだった。とりあえずこれで時間稼ぎはできるだろう。彼らはそう息をつき、そのまま地面に座り込んだ。正直、もう限界だった。脚の筋肉が悲鳴を上げ、今にもつってしまいそうだった。現役時代はこれくらいなんともなかったが、今のような限界な状況で走ったことはなかった。おそらく、廊下では現役時代よりも速く走れていただろう。そう思いながら二人は目を見合わせる。思わず笑みがこぼれてきた。


その時、校舎から轟音が鳴り響いた。


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