第41話 最後の講義2
冷静さを取り戻した彼女は椅子の上に腰かけ、アミットの眼を見つめながら、アミットに質問を投げかけた。
「で、どうしたのかしら?こんな時間に呼び出すなんて。面会なら明日でも大丈夫だったのに。言いたいことって何かしら?」
彼女の気持ちは完全に切り替えられており、アミットが伝えたい重要なことを聞き漏らさないようにしていた。
「結論から言うよ。黒幕がいる。君がこれからやることは黒幕を探すことだ。僕が頼れるのは君しかいないし、君しか信頼できない。他のすべては放っておいていい。スージーにでも頼むべきだし、可能なら彼女にも手伝わせるべきだ。」アミットはベッドを操作し、頭側を起こして上半身を起きた状態にし、彼女の眼を見つめ返した。ベッドからゆっくりと出てきた彼の腕も体幹も枯れ木のようで、油断するとこちらも折れてしまいそうだったが、彼の眼だけは爛々と輝き、そこには知性と生命力の輝きが宿っていた。
「どういうことかしら?確かにそういうことも言う人がいるのは知っているけど、あまり主流ではないし、どちらかというと陰謀論じゃない?あなたも前にメールでそう言っていたじゃない?」メリーアンはそう訝しむ。
アミットは極めて明晰な頭脳を持ち、政治的な主張もなく、このようなことを言い出すような人物ではなかった。現在の身体状態がよくないため、そのようなことを言い出したのだろうか?手術を受けると術後に熱が出るとは聞くが、それのせいだろうか?彼女はそのようなことを考えながらアミットの返答を待った。
「そういうことじゃないよ。私は今も昔も陰謀論者ではないからね。そうじゃない。これは純粋に科学の話なのだ。いいかい、今から僕の仮説を話す。どれも今エビデンスを出せる話ではないし、ある意味今まで起きた出来事を都合よくつなげて解釈しているだけだ。だが、こういうものこそ検証をすべきなのはわかるね?」アミットは彼女の瞳に移る猜疑心を読み取りそう答える。彼の顔は少し微笑んだが、その眼はふざけた様子や狂気を感じるものでなく、まるで透明なレーザーを発しメリーアンを貫かんばかりに鋭かった。




