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第40話 最後の講義1

 アミットに呼び出されたメリーアンは大学病院まで訪れた。もうすでにあたりは暗くなっており、もう面会時間は過ぎていた。1週間前に会った時には元気にしていたアミットだが、知らないうちに入院しており何が起こったのかもよくわからなかった。プリヤの電話は短く、彼女もアミットがわざわざ呼び出す以上は非常に重要な要件なのはよくわかっていたため余計なことは聞かなかった。

 だが、それとは別に、彼女の心の中には不安、心配、そして入院のことを知らされていなかったことに対するかすかな寂しさがあった。病院の時間外入り口につき、多少警備員とは問答になったが、患者本人に呼ばれたことと、プリヤが裏口まで迎えに来てくれたためなんとかなった。夜の静かな、薄明りで照らされた廊下を歩きアミットの病室まで向かう。

 その道すがら、案内してくれるプリヤに今までの経緯を聞いた。今日の朝に転倒し、骨折したため手術を受けたとのことだった。緊急手術だったため、こちらへの連絡はできてなかったし、プリヤにもそんな精神的な余裕はなかったのだ。



 夜勤の看護師の冷たい目を背に、病室にたどり着きそこに寝ていたアミットに会った。広く、落ち着いた内装の清潔な部屋の奥側に大き目な病院のベッドがあり、その上にアミットが眠っていた。少し明かりの落ちた部屋の中、ベッドからは彼の顔と肩が見えていたが、遠目に見えるだけでも以前に会った時よりもさらに痩せ、ほほはこけて眼窩も落ちくぼんでいるのがよくわかった。広い病室の、広いベッドに横たわる彼は1週間前と比べてもより一層小さく、弱弱しく見え、痛々しかった。


 いつもは冷静で芯の強いメリーアンだが、ベッドの上で目を閉じていたアミットを見た瞬間、自然と涙が溢れ、力が抜けてベッドの傍に膝をついてしまった。病院につくまで感じていた不安などはすべて吹き飛び、今は友の無事を見れたことに対する安心感、喜び、そして彼の痛ましい姿を見たことに対する悲しみで胸の中がぐちゃぐちゃになっていた。

 アミットは目をつぶったままベッドにおかれた彼女の手の上に自分の手を重ねた。先ほどまで後ろにいたプリヤは部屋の窓側に設置されているソファーの近くまで移動していた。


「アミット、アミット。大変だったわね。本当に大変だったわね。」涙が止まらず、鼻声のメリーアンの口から自然と言葉が出てきた。


「心配させるつもりはなかったのだ、メリーアン。しくじってしまったよ。杖を突けと言われていたんだけどね。でももう大丈夫だ。手術も無事終わったし、明日から早速リハビリが始まるから。また戻ってくるよ。」アミットは瞼を挙げ、力なく微笑みながら彼女を見つめた。


「すまない、いろいろと急だったから連絡もできなかったよ。」


「大丈夫よ。あなたが無事なら何も言うことはないわ。」彼女は勢いの衰えた涙をハンカチで拭い、立ち上がった。いつの間にか近くまでプリヤが来ており、椅子を自分の横まで持ってきてくれていた。


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