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第38話 虐殺1

 現在、襲撃時に警察が担っている役割は住民の避難誘導だった。中央監視部から届いた通報を受け、警察は当該地域の避難を実施する。その際に、避難場所は近隣の小学校や中学校を使用することとなっていた。

 

 これらの指定された学校は現在塀が増強され、門の部分にもバリケードを設置できるようになど全国的に改造されていた。今回の襲撃でも住民たちは自分たちの子供や孫が通っている小学校に避難し、体育館で怪獣の駆除を待っていた。通常、駆除が成功し死骸の回収が済むと避難指示が撤回され、住宅に戻れるようになることが多く、全体的には数時間だけの避難となることがほとんどだった。

 K市への襲撃自体は過去2回起きており、住民たちも3回目ともなると慣れてきたのか、最初の頃の緊張感は薄れているようだった。不安感はあるが、また数時間待てば住宅に戻れる。そうしたらまた日常に戻るだけだと皆が思っていた。しかし、今回はそうはいかなかった。

 談笑したり、明日の仕事に向けて睡眠をとったりと住民たちが各々思い思いに過ごしていると、避難と警備を担当していた警察官たちが体育館に流れ込んできた。


 「みなさん、どうか落ち着いてください。これから皆さんには校舎内部に退避してもらいます。私たちが先導しますので、すべての荷物をここにおいて移動をお願いします。」警察官がそういうと、体育館の中はざわめきで支配された。


 「申し訳ありません。今は理由を説明している時間がありません。あとで説明しますので、どうか、冷静に私たちの指示に従ってもらえませんか?」


 そういうと警察官たちは校舎内への住民の移動を開始した。一部の住民は従わず、体育館内に残ると言って騒いでいたが、警察官たちも声をかけるだけで無理に動かそうとはしなかった。

 実際問題、もう時間はほとんど残されていなかった。感覚が鋭いものは足元に感じるかすかな振動を感じ取っていたし、何かが迫ってくるような轟音を聞いているものもいた。怪獣の群れが山岳地帯から現れて約10分、自衛隊員達が貪り食われてから約7分、もう数分もすれば怪獣たちはここに到達するはずだった。

 

 大量の怪獣が出現した報告を受けた警察内の司令部は前例のない状況に慌てながらも冷静に状況を判断することに成功した。怪獣の進行速度は不明だったが、少なくとも人間の移動速度を上回っているのは確かだった。今から避難先を移すことは間に合わず、迎撃も不可能。ただ、今までの報告では怪獣単体の力は建物を破壊するほどではなく、しかも大きさを考えると小学校内部への侵入は難しいはず。

 そう考えた司令部は現地の警察官に避難した住民を校舎内に移動させるよう指示した。これは賭けであった。負けの公算が高く、負けた場合には大量虐殺が起こることが目に見えている賭け。それでも彼らには賭ける以外に他に取る選択肢がなかったのだ。


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