第36話 終わりの始まり3
「ターゲットαとβ、確認しました。まだこちらには気づいていません。」
それぞれ配置についた隊員たちは武器を構え、すこし体を角から乗り出し標的を確認し、司令部への通信を行った。
まだ怪獣たちには隊員の存在は気づかれておらず、怪獣たちは無目的に動いている状態であった。以前の襲撃からいくつかの法改正を経て、現在作戦を実行している自衛隊員達は交戦、撤退の判断をある程度現場レベルで判断してよいとなっていた。ただ、今のような比較的余裕のある状況では本部に状況を報告し、指示を仰ぐこととなっていた。
基地内に設置されていた作戦本部では報告された現在の怪獣の位置と警察からの報告で避難が済んでいない家屋の位置を確認。怪獣たちが隠れている住民に気づかず、避難完了している地域まで進行していることを確認した。
現在隊員が配置されている場所から銃撃したと仮定して、その弾丸が住民の避難先、または隠れている方向に飛んでしまう可能性も検討。その可能性が極めて低いことを確認し、交戦許可を出した。
「いいだろう。レッド、ブルーどちらも交戦を許可する。」司令部からは短く返答が入った。
このタイプの怪獣に対しては対策がすでに確立されていた。まずは前後、または左右の方向から相手を挟み込む。陽動を担う班が眼球を狙い攻撃、相手の注意を引いたら後ろから別動隊で後脚を重点的に狙う。脚のバランス上、この怪獣は後脚に荷重の支持を大きく依存しており、それで転倒させることが可能となる。そうしたら、鎌の届きにくい背中および腹側から接近し、集中攻撃を与えるのだ。
今回の作戦も挟撃位置を確保できた時点で同じように実行された。交戦許可が出たのちに前方からサブマシンガンで攻撃を開始。1頭目は右の複眼を打ち抜くことに成功、2頭目は複眼ではないが、顔面に複数弾が当たり、激怒しながら陽動役へと進行した。それと同時に後ろから3名の隊員が出てきて、それぞれ左右の後脚の付け根を狙いアサルトライフルで攻撃を開始した。1頭目は両方の脚を破損し、前方に転倒、2頭目は左の後脚を損傷し左方向に転倒した。そのままアサルトライフルで頭部、胸部を攻撃。2頭共ほぼ同タイミングで駆除することに成功した。最初の通報から約4時間、自衛隊の現地到着からは30分ですべての工程が終了しており、極めて速やかに作戦が完了していた。
最初の頃は作戦が終わるとほっと一息ついていた実行部隊も司令部も、最近の出動数の多さに慣れてしまい、なかばこの一連の作戦が作業と化してしまっていた。あとは回収班を要請し、回収班が死骸を回収、研究機関に移送する流れとなっていた。司令部も作戦の終了を宣言し、集まっていたオペレーターも一部を残し解散を始めていた。
しかし、その時中央監視部では再度の検知アラームが鳴り響いていた。




