第28話 女の話2
元々由美は体力がなく、自発性が弱いタイプだった。東京のとある企業役員の父親と専業主婦の母親の家庭に生まれた。大柄な父親は支配的で、年の離れた若く美しい母親は父のいいなりであった。
兄が二人いて、二人ともそれなりに優秀だったため、父親から可愛がられていたが次男は出奔し現在は北海道、長男は未婚でまだ実家に住んでいる。自分はというと特に期待されることもなく、しかしがんじがらめに育てられた。
小さいころから希望する習い事はさせてもらえず、やりたくもないバレエをやらされた。当然目立った評価も受けられず、父親は徐々に自分に対する興味を失っていった。それにキレイな母と比べ、目立つような外見をしていなかったのも気に入らなかったのかもしれない。
また、中学に上がるときには将来よい妻、よい母親になれるように期待し女子校への進学を決められた。学校では友人もいたが、特に深い仲でもなく一日中小説を読んで過ごしていた。特にいじめなどに会うこともなく、3年間を過ごしそのまま付属の高校に進学、そこでも何もない平坦な3年間を過ごした。
一度、父親に反抗してみたこともあるが、激怒し、家の中を暴れまわって手が付けられなかった。人によってはそこでさらに反発し、家出をしたり非行に走ったりするのだろうが、私にはそうする人たちの気持ちが理解できなかった。何が楽しくて自分を傷つけるような行動をするのだろうか?ハイハイと従っていれば食事も、温かい部屋も、綺麗な服だって買ってもらえることもあるわけで、まったく理解ができなかった。
それに、目の前で怒り狂って、目を血走らせ口角から泡を飛ばし自分を怒鳴りつけている父親と、それを遠巻きに無感情に見ている母親を見ていたら何か冷めてしまった。それ以降は父の言うことには逆らわず、逆に父のしてほしそうなことを事前に察知して言ったり行動したりするようにしていたらとてもうれしそうに、機嫌よく過ごすようになったため、とりあえずはそうしていた。




