第22話 死にゆく者の過去1
アミットはインドから移住してきた両親のもとに生まれた。アミットの両親は入国後インド人コミュニティー相手に日常物品の仕入れの仕事をはじめ、苦労の末小売店を経営し始めた。当初は屋台を使用した屋外店舗での販売を行っていたが、その内にだんだんと儲けがで、今では商店を構えるまでに成功している。
自分は3男として生まれ、小さい頃は兄たちとともに商売を手伝っていた。幼いころはまだ商売が軌道にはのってなく、ずいぶんとひもじい思いをした。そして商売が少しずつ軌道にのり、安定し始めたころ、親が許嫁として連れてきたのがまだ8歳だったプリヤだった。その時自分は10歳で、許嫁の意味がよく分かっていなかったが、結婚のことだと言われて初めて理解した。
彼女は店に出入りしていた仕入れ業者の娘で、おそらく将来自分が支店を持つことを考えての親の配慮であったのだろう。また、自分の彼女に対する印象も静かそうな女の子といったところで、それ以上のものはなかった。しかし、ともに時間を過ごすつれ、プリヤの思いやりや温かさにアミットは心を動かされ、彼女への思いは日に日に深まっていった。アミット自身も実直でありプリヤもプリヤで彼に惹かれていった。
中学に上がったアミットは学校での成績が非常によく、学校から奨学金をもらい高校に進学する提案をもらえた。そこで両親は商売を継ぐのは2人の兄とし、アミットは大学まで行かせようと考えた。また、両家はアミットとプリヤとの結婚計画を見直し、彼女をアミットの兄に嫁がせようと考えた。しかし、すでに恋仲になっていた二人はこの決定に反対し、互いの両親を説得することとなった。最終的に二人が思いあっていることを理解してもらえ、兄に彼女をとられることにはならなかった。




