第20話 告知1
「すまない、アミット。普通ならこんなことをいきなり言わないのだが、君と僕の仲だ、先に行っておく。おそらく癌だ。」
伝えられた言葉を聞いた瞬間、頭をバットで殴られたような衝撃を受けた。2013年、夏の初め、朝起きた時に突如として襲ってきた腰痛は、一週間経っても改善の兆しを見せなかった。始めは単なるぎっくり腰か何かだろうと軽く見ていたが、持続する痛みと日常生活における動作の困難さに、ついには学生時代からの親友でもあるジェームズの診療所を訪ねるに至った。
「なんだって?一体どういうことだい?」
「もちろん、僕が間違っている可能性もある。ただ、これはおそらく転移だろう。背骨に癌が転移して、そこが骨折している。治療のためには原発巣をはっきりさせる必要がある。幸い僕の友人に信頼できる腫瘍内科医がいる。それこそ君の大学の附属病院で准教授をしている。今から彼のところに紹介状を書くし、この後連絡をしておこうと思う。彼のところを受診してくれないか?」そういうとジェームズはアミットの肩に手を置いた。
正直、そこからのやり取りは覚えていない。いくらかの質問をしたり、返答をもらったりとしたし、彼がそれをカルテに書き留めているのは覚えているが、何を言ったのか、何を言われたのかは全く覚えていないし、今考えても思い出せない。その後自分は痛む背中をかばいながらゆっくりと立ち上がり、待合へと退出し、その後会計を済ませ薬を受け取り帰路へとついた。
ジェームズは学生のころからの付き合いだ、まじめで、面白いことの一つも言わない性格だが、おっちょこちょいで行動が面白く二人は学生の間仲良くやってきていた。しかし、ジェームズは今年ごとでは注意深く、まじめで正確な判断をする。おそらく本当なのであろう。自宅に帰り、茫然自失としていたところ、2時間ほど後にジェームズから受診日を知らせる連絡があった。その日は食事がのどを通らず、プリヤとまともに会話をすることもできずに部屋へと引っ込んだ。




