第14話 蓋が開いた
被害が世界規模に広がり始めます
日本で初の死者を出した襲撃のあと、世界中で起きている襲撃が激化していった。日本では昆虫型の巨大生物や猪型の生物が山岳地帯を中心に出現し、自衛隊は全国各地での対応を強いられた。イギリスでは海では10mを超える海蛇状の生物、5mほどの大きさの爬虫類状の生物がテムズ川沿いに出現していた。海蛇状の生物はポーツマスの海岸線近くで釣りをしていた人たちを襲い、6人を丸呑みにして海に消えていった。テムズ川に現れた爬虫類状の怪獣はそのままロンドンに上陸。ロンドン・アイを見に来ていた観光客を10人ほど捕食し、軍隊が到着する前に再度川に消えていった。イギリス海軍、陸軍が追跡をしたが、動きが素早く、逃げられてしまい駆除には成功しなかった。
アメリカ、ロシア、中国でもそれぞれ各地で昆虫、爬虫類、大型の猫科動物状の巨大生物が出現していた。一つ一つは散発的ではあったが、広い国土であり対応が難しく、人的被害がだんだんと増えていった。また、これら以外の国家でも何らかの巨大生物が襲撃を始めており、各国が対応に苦慮していた。ある国では軍隊が出動、ある国では軍隊が出動する前に姿を消す、ある国では民間レベルでの駆除に成功するなど国々でも対応や被害の出方に差はあったが、この襲撃が世界規模の出来事であるのは疑いようがなかった。
これら増加傾向を示す巨大生物の被害に対し、国際的な対応を検討し、統一、必要な地域への兵力の派遣などを相談するための緊急会議が国連主導で行われた。この会議には各国が参加し、それぞれの国の状況を報告、それぞれ出現した生物の特徴などを報告するとともに支援を募った。また、軍事的、金銭的な支援だけではなく、科学的な調査に関する検討も同時期に行われた。また、この会議において、これら生物を日本の映画作品になぞらえ、「怪獣」と呼称することを決定し、世界的に浸透していた。