第112話 吹き鳴らされた黙示録のトランペット
日本で焼く40万人の死者を出した怪獣の大進行。その日から世界中で様々な怪獣の出現が激化した。あれほどの被害を出すことは少なかったが、それでも数百から数千の怪獣が群れを成し、市街地に進行することも起こるようになった。
また、起こったことはそれだけではない。世界中の農地、穀物庫などと呼ばれる地域では怪獣化した植物が既存の植物の生えている場所に進行してきていることが分かったのだ。従来の農薬に対し耐性を示し、しかも人類にとって毒性がある植物たち。彼らのせいで世界規模での食糧危機が起きる可能性が出てきたのだ。これに関しては以前から警鐘を鳴らす声もあったのだが、目の前に迫る怪獣、そして新たに判明したG細菌の致死的な側面に気を取られており、手が回っていなかった。
人類はその数を維持するだけの食料も、安全な居住地も、健康も失いつつあった。つまり、人類は今まさに滅びの瀬戸際にいたのだ。ここまでの2年間で起きたことはただの先触れでしかなく、人類がこれから何十年と直面し、苦しめられ続ける受難の時のわかりやすい始まりであったのだ。
こうして、鳴り響いたトランペットの音に気づかなかった人類は、その終わりの始まりを今更になって知ることとなったのだ。