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第9話  壊れ始める日常2

次から状況が動きます

「国民の皆様、私たちは現在、世界中で前例のない未知の害獣の出現に直面しています。これらの害獣は、我々の生活環境に甚大な影響を及ぼし、時に人命にも危険をもたらしています。」テレビの中の総理大臣は深刻な面持ちで話を始めた。


 2015年に入り春の訪れを感じさせる暖かな日差しがオフィス内を照らしていた。

 

 今日健太は内勤であり、仕事の合間に社内の休憩スペースで他の同僚たちと共に大画面のテレビに集まっていた。画面には国会で可決されたばかりの、自衛隊による害獣駆除に関する緊急法案の説明を行う総理大臣の姿が映し出されている。国会内の空気は、重大な発表を前にして緊張感に包まれていた。


「このような状況を踏まえ、政府は緊急法案を提出し、本日、国会において賛成多数で可決されました。これにより、特例として国内における自衛隊による害獣駆除の活動が可能となります。これは、我が国の安全を確保し、国民の生命と財産を守るための決断です。」


 彼の言葉は、健太の心に重く響いた。テレビ画面で見た異常な大きさの動物や、変わり果てた植物の映像が、彼の脳裏をよぎる。総理大臣の声は引き続き、休憩スペース内に響き渡った。

 演説の内容は具体的な害獣駆除の方法や、自衛隊の活動範囲についての詳細な説明へと移っていった。しかし健太の心の中は、総理の言葉を聞くうちに不安と混乱で満たされていた。彼は、これまでの日常がいかに平和で、そしてそれがいかに脆いものだったかを痛感していた。

 健太が思いを巡らせている間も、演説は続いた。


「国民の皆様には、政府としての決断に御理解をいただきたい。また、このような時こそ、我々は一致団結し、この困難を乗り越えていく必要があります。」


 演説が終わると、健太は深いため息をついた。彼の周りの同僚たちも、それぞれに複雑な表情を浮かべていた。テレビでは官房長官の詳しい説明、現時点で分かっている被害などの報告も続いていたが、健太はもう聞いていなかった。彼はこれから自分たちの生活がどのように変わっていくのか、どのように対応していくべきなのかを考えながら、もう一度デスクに戻った。彼には明確な答えはなかったが、この状況をただ受け入れるしかないという重い現実が、彼の心を重くしていた。


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