表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

288/302

第287話 現実……?

 目が覚める。

 硬いものが背中にあたり痛みを感じるが、これは学院の屋上に寝ていたからだった。


「大丈夫?」


 上から降ってきたのはキーラの声。

 空ではカケラと仲間たちが戦っている。

 空を飛べない者たちを飛ばしているのはロイン大将とモック工場長のようで、彼らは地上からの援護に徹していた。


 これはさっきとまったく同じパターンだ。ここにきて初めてまったく同じパターンというのがやってきた。

 よりにもよって特にキツイこのパターンでだ。


 仲間は悪気なさげに近づいてきて、俺を苦しめるとも知らずに俺に触れようとする。

 その仲間に味わわせられる痛みは、これまでの数々の苦しみの中でもトップレベルに耐えがたいもの。


 これからそれが何度繰り返されるのか。もしかしたら永遠に繰り返されるのか。

 カケラが約束なんて守るはずがなかった。俺はこの悪夢から抜け出すことはできないのだ。

 狂気に堕ちられるものならさっさと堕ちてしまいたい。いや、これはすでに堕ちているのか?

 分からない。助けてくれ。

 助けなくていいから殺してくれ。


「エスト、目覚めたばかりで悪いんだけれど、力を貸して!」


 キーラが寝そべった俺の肩に手を伸ばす。

 俺はとっさに起き上がってその場から離れた。


「来るな! 近づくな! もうやめてくれぇ……頼むから、もう、やめてくれぇえええ」


 俺はかつてないほどに大量の涙を垂れ流し、顔を崩して泣きじゃくった。

 そしてキーラ、リーズ、シャイルから距離を取った。

 心配そうに近寄る三人に対してめいっぱい叫ぶ。喉が破れそうなほどに大きな声で拒絶する。

 ふとエアの遺体が視界に映り、危うくつまずきそうになるも、どうにかエアを避けて床に転がり、そのまま這うようにして仲間たちから距離を取った。


「お願いだ。お願いだから近づくな! 俺に触れるな! あっちに行ってくれぇえええ!」


 俺は膝を抱えてうずくまったまま、顔を伏せた。

 頭を両手で押さえ、全力の拒否を示した。


 彼女たちはそれでも近づいてくるだろう。

 それがいつなのか、顔を伏せて怯えるだけの俺には分からない。すぐかもしれないし、時間がかかるかもしれない。

 腰が抜けてもう動けない。俺はただただ恐怖し、地獄の瞬間を待ちつづけることしかできなかった。

 肉体的地獄を待つこの時間も精神的地獄。

 俺は永遠に地獄から抜け出すことはできないのだ。

「面白かった」「続きが気になる」と思っていただけたら、下にある☆☆☆☆☆から作品への応援をお願いいたします。

面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直な気持ちで大丈夫です!

ブックマークもしていただけると嬉しいです!

ぜひともよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ