表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/75

6月24日 聖淮戦6

 今日は、日直の当番だったので、他のメンバーより早く朝練を終えて、ユニフォームを着替えていた。すると、部室に"目指せベスト4"という落書きが書いてあることに気がついた。こんなの、この前までなかったんじゃないか?部室には、朝練をしていたメンバーがいなかったので聞けず、もどかしくなっていた。


 ー6月19日ー


 6回裏、打席には、5番佐伯。マウンドには、背番号1の湯浅。長身からのオーバースローで投球する。5球の投球練習では、全てストレートをなげこんでいた。なぜ、先発で投げなかったのか?少し気になっていた。

 湯浅は、初球こそ外れたが、2球目以降は、ストレートをストライクゾーンに投げこむ。佐伯は、バットに当たらず、三振となった。続く6番橘も三球三振となった。湯浅は、大歓声の中、淮南高校のベンチへと戻っていった。3年生とハイタッチする姿があった。

 試合は、7回へと入っていった。聖徳高校のマウンドには、橘が投げ続けていた。ブルペンでは、3年生の竹田、葛西がピッチング練習を行なっていた。7回表、淮南高校の攻撃は、6番の山名から。山名は、橘の初球のストレートを捉えた。打球は、サードとショートの間へ転がる。サードの佐伯は、とれず俺の横へと飛んでくる。

 俺は、必死にダイブし、ボールを掴もうとした。「アッ」。しかし、ボールは、グラブの下を通り越し、レフト前ヒットとなった。俺は、飛びこんだがすぐに起き上がり、レフトからボールを受け取った。淮南高校は、この試合初めて、無死のランナーを出すことができた。

 無死1塁で、7番の長尾。橘は、先ほどの回みたいに笑顔が少ない。しかし、間を置く前に、バッターに投げこむ。長尾は、送りバントを決め1死2塁となった。ここで、淮南高校は、8番の新内。新内もバントの構えを見せる。

 橘、橋本のバッテリーは、初球アウトコースのストレートで様子を見る。新内は、バントの構えでひいた。「ボール」。球審は、声をはりあげる。橘は、どこかで投げ急いでいる様に感じた。今度は、ストライクゾーンにストレートを投げこんだ。新内は、バントをする。橘は、3塁には投げられず、ファーストでアウトをとった。これで、2死3塁。ここで、9番の湯浅がバッターボックスに。

 俺は、バッティングが良いだろうと考え、いつもより深めにポジションを取る。橘は、腕を振りかぶり、初球を投げる。すると、湯浅は、バントの構えをした。「えっ?」。俺は心の声が漏れてしまった。橘が投げこんだボールは、インコース低めにきた。湯浅は、バントにボールを当て、ボールは、3塁前に転がった。

 サードの佐伯は、急いで前にダッシュする。バッターの湯浅も、懸命に一塁を目指した。俺は、後ろに守っていた守備位置からセカンドベースに移動した。サードの佐伯は、転がったボールをグラブで捕球せず、素手で掴み、1塁へと送球した。ファーストの川中は、足を広げボールを捕球する。川中が捕球するのと同時くらいに湯浅は、一塁にヘッドスライディングをした。

 審判は、両腕を開いた。スタンドからは、大歓声が!!3塁側のベンチは、大きな盛り上がりを見せた。エース橘は、膝に手をやり、地面を見つめていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ