8月12日 お母さん
お母さん「準備できた?」
俺 「もうちょっと待って」
ちょうどいいタイミングで動画が終わりそうだった。
お母さん「何してんの?」
俺 「今、動画見てるところ」
お母さん「早くしなさいよ」
俺は、スマホをおいて、カバンの中に今日必要な財布や単語帳などを入れる。
俺 「今から準備するから」
お母さん「はーい」
俺 「お母さんって、どうやって志望校決めたの?」
お母さんは、車の鍵をとった。
お母さん「お母さんは、やりたいことなかったから行けるところにいったよ」
俺 「ふーん。そんなものかぁ」
お母さん「迷ってるの?」
俺の迷いに何を思っているのだろうか?
俺 「迷ってるっていうかどうやって決めようかなと思って」
お母さん「野球終わって間もないんだから、もっとゆっくり考えたら」
意外な返答だった。まさか、お母さんからそんなことを言われるなんて。
俺 「まぁ、そうできたらいいんだけどな」
お母さん「難しいの?」
昔から、俺のお母さんは何かを強要したことが一度もなかった。17年経った今も、全然変わっていない。不思議だった。
俺 「なかなかそうできないな」
お母さん「うーん。なんでそう思うの?」
優しく聞いてくれた。
俺 「なんでって、わからないよ」
お母さん「そうやって迷うことも必要だよ。生きてたら」
お母さんの話は、絶妙に深い話な気がした。
俺 「そうかな?」
お母さん「父さん見てみなよ。ずっと、仕事変えて大変でしょ?」
たしかに、お父さんはよく仕事を変えている。直近は、1年前に辞めた。
俺 「お父さんって、結構仕事変えてるよね?」
お母さん「たぶん、修が生まれてから4回は確実に変えてるかな」
平均して、4年ちょいくらいか。一つの会社。
俺 「4回って凄いよね」
お母さん「凄いね。よくするわ、本当に」
お母さんも呆れているみたいだった。
俺 「でも、それだけできるのも才能だよね」
お母さん「それは、本当にそうだよ」
俺は、全て準備が整った。
俺 「いけるよ」
お母さん「おっけー。じゃあ、いこっか」
俺たちは、今から車で出かけることになっているのだ。久しぶりにお母さんと二人きりでどうなるから楽しみだった。




