8月8日 淮南高校戦10
おばあちゃんの家は、思ったよりも自分にとっていい時間となっていた。これまでの野球生活、これからのこといろいろ考えることができた。小学1年生から始めた野球、いつまで続けるか正直悩んだ。高校最後の野球生活が終了し、約12年の野球にピリオドが打たれた。これから、野球を続けるかどうかはわからない。未定な方が一番いい気がしていた。変に野球をするやめると決断してしまうと、そこからまた行動しすぎたりできなくなってしまう。俺は、そんな想いが巡っていた。だったら、いっそのこと何も考えずに、欲のまま過ごしてしまう人生も悪くないんじゃないかという結論に至ったのだ。
ー7月29日ー
一塁ベースにヘッドスライディングをしたが、審判のアウトの声が鳴り響いた。なかなか立ち上がれない。最後のバッターってこんな感じなんだ。なんだか、笑らけてきた。自分が思い浮かべていた最後のバッターとは少し違った。思ったよりあっけない。ボールを捕ったファーストは、ピッチャーの方に駆け寄っていくように感じた。俺が起き上がれないでいると、一塁ランナーコーチの葛西が俺を抱き抱えた。葛西は、何も言わず俺を支えてくれる。そして、抱き抱えられながら、整列へと向かわしてくれた。
一塁側ベンチにいた川中、橘などベンチにいた選手たちが一斉に戻ってきたのだった。いつかは、こういう日がくるとわかっていた。けど、いざその日がくるとなかなか受け入れられないものだ。なんで打てなかったんだろう?あそこで打っていたら変わっていたのに。自分の打席に納得がいかなかった。整列している時、俺は涙が溢れ落ちていた。審判の合図ともに、俺たちはお辞儀をしてベンチへと戻っていく。すると、俺だけではなく、橘、佐伯、永谷たちなどたくさんの選手が涙を流しているのがわかった。
淮南高校の校歌が流れてくる。こんなに自分の世界に入れるのは久しぶりだった。もう、周りの様子とか全然わからない。自分だけの世界に入っている。自問自答した声がやたらと大きく聞こえる。周りは白く見えて自分だけが動いているようだった。わずか40秒ほどだけど、長く感じた。ありがとうございました!!淮南高校選手たちは、大きくグラウンドにお辞儀をして三塁側ベンチへと引き上げていくのだった。俺たちも、監督の声とともに、ベンチから引き上げていく。決して、簡単に涙は止まらない。それでも、俺たちを待ってくれるものはなかった。




