6月23日 聖淮戦5
18時までの練習で、俺は、ヘトヘトになっていた。しかし、今日は、祐奈と帰る予定だった。野球で忙しく、どこかに遊ぶに行くことができていないなので、今日は、なんとかという思いをもちながら、カバンを自転車にのせた。
ー6月19日ー
グラウンド整備が終わり、6回表が始まった。5回裏の聖徳高校がチャンスを作らなかったこともあり、この回の入りかとても大事だった。投球練習が終わらと、俺はすかさず、投手の橘に声をかけにいった。
俺 「橘、この回大事やぞ」
橘 「任せとけ」
俺 「頼もしいね」
橘 「今日、彼女来てるやん」
橘は、6回に入るも大きく疲れた様子を見せなかった。
俺 「うるさいなぁ。ピッチングに集中しろ」
橘 「今日も、祐奈ちゃんカワイイやん」
俺 「当たり前や!」
橘 「祐奈ちゃんの横の入江さんも可愛い」
俺 「まず、3番打ち取っていこ」
橘 「おっけいー」
俺は、セカンドから受け取ったボールを、橘のグラブに入れて、ポジションのショートに戻っていた。橘は、ストレート主体の強気のピッチングを続ける。3番から始まるクリーンナップだったが、俺の心配とは裏腹に、三者凡退に抑えていった。橘は、笑顔を見せながら、一塁側のベンチへと戻っていった。
6回裏の聖徳高校の攻撃は、2番の俺から始まった。淮南高校の佐藤も少しずつ疲れてきた頃だろう。俺は、バットを見つめながら、息をはいた。初球、インコースだけを狙っていた。そのボールがちょうどきた。俺は、バッティングのフォームから、右手をすっとバットの真ん中ほどを持ち、ヘッドを三塁側に向ける。
ボールを芯に当てる。ボールは、3塁前にコロコロと転がっていく。サードは、前にきて捕球し、ファーストへと送球する。俺は、健太郎の真似のように一塁へ飛びこんだ。
塁審は、体を大の字にした。「セーフ!!」。歓声が大きくなった。俺は、肘につけていたレガースをとり1塁ランナーコーチの早川に渡した。
3番橋本は、初球を送りバントし、1死2塁となった。ここで、聖徳高校は4番の川中が打席に入った。淮南高校の佐藤は、少しずつ疲れてきている様子。そんなことをリードをとりながら考えていると、佐藤の投げた初球が川中の足に当たった。まさに、考えた通りになった。
1死1.2塁となったこともあり、マウンドに選手が集まった。淮南高校の監督が出て、主審と話していた。すると、2番手のピッチャーがマウンドに上がってきた。ここで、ピッチャーが交代。
「淮南高校選手の交代をお知らせいたします。ピッチャー佐藤くんに代わりまして、湯浅くん」。すると、三塁側に大きな声援があがる。2番手のピッチャーは、背番号1。右投げのオーバースロー。ただ、先ほどの佐藤よりストレートが速い様に感じた。