8月7日 淮南高校戦9
俺は、おばあちゃんの家に行き、墓掃除を手伝っていた。夏休みの宿題は大方終わり、俺は少し余裕を持て余していた。
ー7月29日ー
湯浅がグラウンドを一周まわっていく姿を見つめないように俺は、上を向いた。なんとか、次の打者を打ち取ったのだけど、3点は、あまりにも大きかった。次の俺たちの攻撃は、4番の川中からだった。3点を取るのがどれだけ大変か。今日の湯浅のピッチングを見てたら、チャンスがあるのかとすら思っていると、あっという間にツーアウトになっていた。9回表。打席には、6番の早川。ベンチは、もう静まりかえっていた。俺たちは、もう終わりなのだろうか?
すると、早川の友だちである山田がベンチの奥から出てきた。打てよ!!ここからだぞ!!中学校から同じ二人には、何か通じるものがあるのだろう、きっと。左打席に入った早川は、一回、二回とバットをスイングする。早川は、今大会初めてのスタメン出場。野球のセンスだけ見れば、レギュラーとして試合に出てもおかしくなかった。しかし、1年の時に怪我をしてからアイツの野球人生は変わってしまったのだ。
キャプテンの川中も大きな声を出す。湯浅の初球は、アウトコースに外れた。ツーアウトということもあってか、淮南高校にも余裕が溢れているように感じた。スタンドからの応援が途切れることはない。どこかで祐奈も応援しているんだろう。まだ、終わりたくない。そう願った次の瞬間、大きな金属音が聞こえてきた。打球は、ライトの頭上へと飛んでいく。ライトは、追いかけるも打球の速さについていけなかった。外野の審判は、くるくる腕を回す。スタンド、ベンチからは、一斉に声が上がった。俺は、ベンチ前にあるクッションを叩いてしまった。まさか、ここでホームラン。
みんな想定していなかっただろう。打った早川は、軽快に二塁を回る。左手を大きく突き上げ、チームを鼓舞するかのようなパフォーマンスだった。嬉しいだろな、アイツも。決して仲がいいとは言えないが、こういう活躍は見ていて心が熱くなってしまう。打たれた湯浅は、審判からボールを受け取った。三塁を回った早川は、さっきまで突き上げた腕を下ろし、ホームへと帰ってくる。次の打者である、安田とハイタッチを交わし、ベンチへと帰ってきた。監督は、大きな声を出し、迎え入れる。そんな早川を選手で一番に迎え入れたのはやはり山田だった。ハイタッチを交わしたあと、ヘルメットを叩いたのだった。




