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日常で世界を変える(八幡編)  作者: mei


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37/80

7月25日 取手高校戦

 旅をする気分に浸らせてくれる映像が、俺の目に広がってくる。青々とした草原が広がり、風で揺れる麦畑や小さな街並みが目に飛び込んでくる。しかし、一瞬で切り替わる。木々の間を透過する太陽の光は、8月を示す合図だろうか?窓を開けてはいけないのだろうけど、今の気分だと開けたくなってしまう。

 色とりどりの建物や看板、交通の流れが増えてきた。もう、バスは走り始めて15分が経過しようとしていた。少し音がうるさいが、それもまた雑踏の中逸脱した旅のスパイスの一つだと考えられるくらい余裕があった。街路樹の緑も、ある種の心地よさを感じさせてくれる。おそらく、負けたらこんな余裕なんかなかったんだろうな。すべては結果で決まる。

 バスの窓から見える景色は、車窓風景と称されるだけあって、それだけで俺たちにいろいろな世界を与えてくれる。野球で疲れた身体は、外を見ているだけで

どこか落ち着きを取り戻せるような気がする。他の部員は、静かに眠りに落ちていた。横にいる永谷の落ちた帽子をそっと取り、カバンの上に置いた。

 これまでのどの大会よりも大歓声の中でやれたのは、本当に嬉しかった。結果こそ、4打数1安打と微妙な成績だったけど、チームも勝てたしそれだけで満足していた。今日から長野予選が始まった。対戦相手は、取手高校。向こうのピッチャーは、変則左腕ということもあり、5回までなかなか打ち崩せなかった。

 それでも、6回に俺のヒットを皮切りに、橋本と川中がヒットと四球でノーアウト満塁となる。ここで5番の佐伯の犠牲フライと7番安田のタイムリーヒットで2点を先制。その2点をエースの橘、竹田とつないで勝利をしたのだった。試合内容は、今一つだったが、勝ったからよしと俺たちはしていた。

 今日は、ショートゴロ、レフトフライ、センター前ヒット、ライトフライという内容だった。守備では、3度の守備機会を無事こなせたのはよかった。けど、次も同じように上手くいくとは限らない。また、帰って練習だ。次は、海美高校だと思っていたが、まさかの初戦敗退という結果を耳にして驚いてしまった。

 海美高校が負けてしまったため、俺たちの対戦相手は、千川第二高校となった。ネット情報だと、春風は投げてないみたいだし、負けても仕方がなかったのかもしれない。けど、俺たちは、こんなところで負けてられない。窓の景色を見ながら、俺は、これからのことを考えていた。

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