6月21日 聖淮戦3
"聖淮戦"が終わり、今日から練習が再開した。ここからは、夏の大会に向けての調整になる。今回、レギュラーで試合に出られなかった永谷や山田たちも燃えていた。
ー6月19日ー
俺が振りぬいたボールは、1.2塁間を抜けていった。1塁ランナーの侑大は、一気に三塁まで進んだ。ウォー。スタンドからの歓声が大きく鳴り響いた。
無死1.3塁で、3番の橋本を迎えた。今日は、橋本の彼女もスタンドに来ていた。橋本に彼女がいることは、野球部でも俺と橘しか知らない。橘は、ゆっくり右打席にたった。淮南高校の佐藤は、1.2球目ボールとなった瞬間、キャッチャーは立ち上がり、橘とは勝負をしなかった。
無死満塁になり、淮南高校は、ピッチャーマウンドにキャッチャーと内野手が集まった。少し話をして、キャッチャー、内野手はそれぞれのポジションに戻っていった。
そして、打席には、4番の川中が打席に入った。しかし、ここからエースの佐藤のピッチングが大きく変わった。4番川中には、スライダー2球で追いこみ、フォークで3球三振に。さらに、5番佐伯、6番橘も三振に仕留めだったのだった。グラウンドには、再び歓声が広がった。特に、淮南高校からは大きな拍手が広がっていた。
ここから、両チーム、投手戦が続く。聖徳高校の橘は、2.3.4回をノーヒットに抑えるピッチング。対する、淮南高校の佐藤は、毎回ランナーを出すものの、無失点に抑えていた。俺は、1打席目のヒットに続き、2打席目もセンター前ヒットを打ち、2打数2安打になっていた。
4回を終え、0対0。5回表の淮南高校の攻撃に入っていった。セカンドには、健太郎。サードには、佐伯。みんな楽しそうに試合をしていた。スタンドには、橋本の彼女だけでなく、俺の彼女も見ていた。
俺の彼女は、3年1組にいる渡邉優奈。まさか、彼女ができるとは思っていなかったが、告白してくれたこともあり付き合うことになった。2年の時に、たくさん話をしていた。練習が忙しくて、デートに行く機会も少なかったが、それでも自分を好きでいてくれたことが不思議だった。
淮南高校の先頭バッター、村田は、レフトフライに打ち取った。スタンドには、元野球部の伊関や佐野の姿もあった。俺たち3年生は、全員で16人。しかし、最初は、25人いた。しかし、練習のキツさや怪我などで辞める部員が出ていた。入部当初は、みんな本当にヤンチャだった。
続く、淮南高校の南はサードゴロになり、ツーアウトとなった。俺たちは、先輩と喧嘩したり、盗難したり、授業をサボったり。先生や先輩から批判されることも多々あった。野球部でヤンチャな奴は、橘、橋本、佐伯、山田、早川あたりだ。俺は、どちらかというと真面目な方だったから、大きなトラブルを起こすことはなかった。
淮南高校の中村の打球は、俺のところに飛んできた。打球は、正面にに飛んできたこともあり、体の前で捕球し、一塁へ投げた。ファーストの川中がボールを捕球し、スリーアウトとなり、チェンジとななった。