6月20日 聖淮戦2
昨日の試合から、一夜明け、少し落ち着いた俺がいた。"聖淮戦"が始まる前は、どうなるか?と不安でいっぱいだったが、終わってみると、冷静に昨日の試合を振り返ることができていた。
ー6月19日ー
1回表、淮南高校の攻撃は、"1番サード村田くん"
俺は、少し左寄りのショートのポジションにした。エース橘のボールを見逃した。そして、2球目を打ち、センターフライとなった。橘は、ワンナウトの指を見せながら、ボールを受け取った。続く、2、3番も打ちとりチェンジとなった。
1回裏、聖徳打線は、1番の侑大が打席に入った。1週間前までは、練習禁止になるなど、しんどい思いをしていただけに、スタメン復帰となる今日は、いいアピール機会となるだろう。侑大が打席に入るとともに、俺は、黒色のバットを持って、ネクストバッターサークルに入っていった。
ネクストからみる侑大の姿は、とても頼もしかった。淮南高校の先発投手は、佐藤。右投げのオーバースローの投手だ。投球練習を見ていると、さほど速くない様だった。侑大は、初球をいきなり振りぬいた。打球は、レフトの前へ。いきなり、ランナーを出すことができた。そして、俺の打順へと回ってきた。
監督のサインは、バンド。淮南高校の佐藤は、一塁ランナーの侑大を気にしている様子。牽制はせず、そのまま初球を放った。初球は、外角高めに外れてボールになった。二球目は、インコース低めに外れて、2ボール。
俺は、再び監督のサインに目をやった。監督は、帽子を触ってからベルトを触った。つまり、エンドランのサイン。俺は、少し動揺してしまった。佐藤は、俺が何をしてくるか見るために、一塁に牽制をした。俺は、一瞬バントからバッティングの構えに変えてしまった。佐藤は、再び1塁へ牽制した。明らかにこちらのサインがバレてると感じた俺は、審判にタイムを要求した。
「タイム!!」。審判の声が鳴り響いた。俺は、監督の
もとへ歩み寄った。
監督「どうした?」
俺 「たぶん、エンドランばれてます」
監督「そうなんかぁ」
俺 「次、外してくる可能性あります。どうします?」
監督「じゃあ、様子見るわ」
俺 「わかりました」
俺は、再びバッターボックスに戻った。佐藤は、また、一塁へと牽制をいれる。監督のサインは、待てだった。佐藤の投じた3球目は、外角低めのボールとなった。これで、3ボール。俺は、バットをおろし、監督を見る。監督は、帽子からベルトを触る。再び、エンドランのサインが出た。1塁ランナーの侑大は、少し小さくリードをとった様子だった。佐藤は、牽制を入れずそのまま投げた。ボールは、真ん中高め。ちょうど打ち返しやいところだった。俺は、バットを振りぬいた。