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エルガ―のその言葉は〝確信〟を持っていた。
まるで見てきたように、その先に待つ凄惨な結末を知っている者の目をしていた。
しかし疑問がある。聖女は100年前に魔王・・・自身の身体と魂を引き離したと言っていなかったか?と。
「エルガ―さん、聖女の人ってまだ生きてるんですか?」
「あれは怪物です。神力で若さと寿命を操り、術で聖女を盲信させ相手の心を意のままに使役します。・・・勇者はその状況を知らず、浅はかにも魔王様の討伐に向かいました」
「ひぇ・・・」
真生はあわわと口元を抑えた。何とか勇者一行にその事を伝えられないだろうか。
そんな事を考えていると、エルガ―は言葉を続けた。
「そしてその勇者が俺でした」
「・・・・・んん????」
「俺は一度聖女とその取り巻きに殺され、女神によって再度生き返り、時を遡りました」
「うん、うん?????」
一度殺された?生き返って時を遡った?
時を遡ったってなに?
聖女の神とエルガ―の女神は違うん?
真生の頭は疑問でいっぱいだ。
「死後、女神は聖女に力を与えている神を開放して欲しいと俺に言ってきました。その為なら俺の願いを叶えると」
「エルガ―さんの願い、ですか?」
「記憶をそのまま保持した状態で勇者に任命される前の時に生き返り、その際に勇者の力を全て解放、俺を殺した聖女共への復讐、そして魔王様を異界の狭間から呼び戻す術の提供です」
「・・・・・・・・」
も、盛り盛りの盛りだ~~~!
貰えるもん貰っていくぜ精神がもりもり設定に拍車を掛けている。
これは設定が大渋滞過ぎないか?と心配になる真生であった。
でもそのお陰で(?)真生は本来の身体で目を覚ませたのだ。感謝しかない。
・・・ん?ないのか?
「エルガ―さんの事情は分かりました。私が本当の身体で目を覚ます事が出来たのはエルガ―さんのお陰?なんですね。有難う御座います。何かお礼が出来たら良いんですけど・・・」
如何せん作られた記憶と言っても地球に居た頃の人格な為、感謝にはお礼を精神である。
しかしお礼と言っても今の真生には何も用意が出来ない事に気付き、言葉尻が小さくなる一方だった。
「では・・・俺を魔王様の軍に入れて下さい」
「な、なんて?」