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目が覚めたら魔王だった。  作者: 川蝉 良和
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ようこそ魔国

ゆるりと始めさせて頂きます。


昔から違和感があった。

自分はここに居るのに、〝それは本当に自分の意思なのか?〟〝不思議と画面の向こう側の出来事のようだ〟と思っていた。

そして何よりも〝足りない〟のだ。

家族と過ごしても、友人と遊んでも、仕事をしていても。大人になれば無くなるかと思いきや変わらないそれ。

何が違うのかは分からない。ただ物心が付いたときからの違和感。

それでもまあ良いかと過ごしてきた。

気にはなるが答えが出ないことを一々考えても仕方の無いことだと真生は小さく息を吐き自宅のポストを開ける。今日はずっと楽しみにしていた舞台のDVD発売日だ。

キャラクターに扮した俳優達が歌って踊り時には殺陣を用いる。2.5次元の世界。

後輩に、先輩も知ってる作品なのでと誘われ見に行ったらとても面白かったのだ。

沼、一緒に浸かりましょ・・・。と言われているが、まだその勇気は持ち合わせていない。


「手紙?」


自宅のポストには一通の手紙だけが入っていた。

差出人も、住所も書かれていない真っ白な封筒。

部屋に持ち帰るより、今開けてしまおう。真生はそう判断し、封を開けた。



***



ザワザワと話し声が聞こえる。

1人2人では無い大勢の声だ。

真生はその騒々しさに眉間に皺を寄せ瞳を開けた。


「ま、魔王様…」

「お目覚めになられた!」

「魔王様!」

「我らの魔王様!!」

「……は?」


真生は間の抜けた声を漏らす。

しかしそれは仕方の無い事だった。

自身の目線から数段下には四人の人物、その後ろには数多の〝人の姿と異なる〟者達が真生を前に噎び泣き、互いに抱き合い、両手を組み空虚へと感謝の言葉を述べているのだから。

眼前に広がる光景は非現実的過ぎた為、脳が情報処理を怠った。


「なに、これ・・・っ」


分かる範囲できょろきょろと見回す。

自身から発せられる声は幼さがあり、手足は玩具のように小さい。しかし髪の毛は反対にどこまでも長く、座っている椅子よりその先、数段ある段差付近まで伸びていた。

その為真生は最初それを髪の毛と認識できず、なんだあの黒い糸の塊くらいだった。

しかし何故だろう、この異常な光景にも関わらず真生は思った。

〝やっと帰ってこれた〟と。


誤字脱字のご報告等頂けますと嬉しいです。宜しくお願い致します

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