表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

憧れ

作者: くらいいんぐ

男は、髪の毛がうっとおしくて仕方がなかった。


彼は、建築業をしており、いつも現場仕事だった。


なぜか、ひげは生えても気にならないのだが、髪の毛には異常に反応していた。


いつか、坊主にしてやる、と思っていた。


ただ、妻が許さないため、刈り上げで我慢していた。


そんなある時、テレビで好きなタレントが、坊主にしましたと言って出てきた。


それは、役作りのための坊主だったのだが、男には大きなインパクトを与えた。


すぐに妻の元へ行き、こう言った。


「俺、坊主にする。」


妻は、


「あんた、子供の気持ち考えな。ご近所さんの目もあるし。」


と言う。


しかし、男は引かない。


次の日、床屋に行き、こう言った。


「五分刈りにして下さい。」


床屋を出た後、晴れた気持ちでいっぱいだった。


頭の感触を何回も確かめた。


すると、携帯がなる。実の母からだ。


ちょっと家電が壊れたので、来てほしいとのこと。


ちょっと自慢気に母の元へ向かった。


家に入る。


母が喋りかける。


「このエアコンが・・・」


その時、母と目が合う。すると、母の目つきが変わり、怒鳴りつけてきた。


「あんた!ヤクザになったの?」


え?や、やくざ??


母の頭のなかでは、坊主=ヤクザだったみたいだ。


「い、いや・・・」


母はすごい剣幕で言う。


「そんな子はうちの子ではないよ!出ていきな!!」


「あ、これは・・ちょっと会社で失敗しちゃって・・・。そう、反省の印。」


「はあ・・あんたはもう、仕方がないんだから。昔っからそうだ。」


男は苦し紛れの嘘をついた。


そんなことする必要もない年頃なのだが。


「まあいい。ちょっとエアコンみて。」


男は、エアコンを直して実家を出た。


家に帰る途中、ワークマンにより、ニット帽を買った。 男の背中は、何故か哀愁が漂っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ