死後
『夜刀さん、夜刀さんてばもう候補は決めたのかい?』
『うるさい、ネフティス。お前と私では、選べる量がそもそも違うであろうに』
『なら、すでに選び終えている私の管轄からも選んでいくかい?』
『いらん。私は、私で選ぶさ』
『そうかい?そりゃぁ残念だ。始まりはもうすぐだよ』
『…………わかっている』
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『おい、少年起きぬか……。おいこらさっさと起きろよ!』
なんだよ、うるさい……。そもそも、お前が誰かも知らないし、今いる場所すら理解出来てない奴に対しての一言目がそれかよ。
『え、なにこっちが悪い感じですか~。ないちゃうぞ~?』
意味がわからない。理解ができない。そして何故、言葉を発していないはずなのに意思疎通が出来ているのか。何故、周りには何も無いただただ黒いだけで何も見えない空間に自分がいるのか。何故……
『あ、ちょっ、待って!答えるから!答えるから待って!』
やっぱり、意思疎通が出来ている?
『はいはーい。とりあえず1つずつ答えていくね~?え~っと~まずはっと、僕は、夜刀神って名前で、君が考えていることをちょこっと覗かせてもらってるから意思疎通が出来てるの。そんで、君は……死んだ』
やっぱり、意味がわからない。死んだのに意思疎通出来るとか意味がわからない。
『あっ、そこ?それは~ほら!君が生きてきた世界にあったライトノベル?的なものだよ~。ここまではオーケー?』
……確かに、読んだことがある気がする。何か色々と忘れている気もするけど……。
『でしょ?読んだことあるでしょ?ってことは、この状況とこれから起こることは理解してくれる?』
なにか1つチート能力授けられて、世界で勝手に生きてくださいってやつか……。元いた所には、後ろ髪を引かれるような思いもないし。どうでもいいや。
『お?今回は当たりかなぁ?』
……は?当たり?ハズレもあったのか?
『でもまぁ、君の場合そんなライトノベルみたく、上手くいく訳では無いんだけどもね?まずは……まぁ、説明も面倒だし、とりあえず行こっか』
……は?説明……!?
『はい、ついたぁ~』
目に見えているのかは、分からないけど光景が一瞬の内に切り替わった?周りは……色んな格好をしてる男と女、それと……青白い炎が、男と女の横にそれぞれ1つ浮いている。
『あ、それ君と僕も似たようなもんだから』
じゃぁ今の姿……?はあんな感じにふわふわ浮いている埃みたいなものってことか……。
『埃?面白いこというね~』
どうしてこいつが笑うのか、まったく理解できない。
『さぁ、始まるよ』
だから、説明しろって……。
『またこの日がやってきた!唯一の我らの楽しみと言っても過言ではない!お前達、楽しむがいい!そして、今回の魂集めの神々よ。頑張りたまえ。また、集められた魂共よ!我等を楽しませておくれよ?』
なんだ?今度こそ本当に理解ができない。話している神?とその周りにいる神?が上から見下しているかのようだ。神様方は……ん?ならどうして、横にいる夜刀神も下なんだ?
『それは……後で、説明するよ……』
神様同士でも色々あるんだなぁ。ま、どうでもいいけど。
『……さて、我等を1番楽しませてくれた者にはお前たちの望みを叶えてやろう。さぁ!まずは……この人数を減らそうか』
……ん?来て早々にさよならとかは流石に嫌だぞ。
『まぁ、頑張って!最初は簡単なはずだからさ!』
とりあえず、勝てばまだ意識は保っていられるっぽいな……とはいえ、何をさせられるんだろうか。人数減らしって言えば……バトロワ的なやつかなぁ。
『さぁ!50の魂のバトルロワイヤルだ!入れ物は、その横にいる神に貰え』
入れ物?なにそれ、閉じ込められ……は流石にないか。
『はい、これは君の』
透明な人の形をした入れ物?
『そう!今から君をこれに入れるから、他の魂たちょいと戦って勝ってきてね!』
そんな、勝てるわけないのに……なんて考えているうちに後ろは黒い空間がどこまで続くかわからず、石のような見た目の円形の台の上に立っていた。ふと、下を見れば、左胸の辺りに青白い炎が浮かび、透明で無機質な手足が見える。ということは……今は頭に目がついていることになるのかな。周りを見れば、同じく人型もいるけど、大きな機械のようなよくわからないものも見える。勝たなければ、この後ろの黒い空間でいつまでも漂い続けるなんてことになるのだろうか……。落ちても、上にいる神様たちが面白いと思えばまた拾ってもらえるのか……。今までにない程に様々な考えが浮かぶ。
『さて、それではこの台の上にいる魂共が10になるまで続くバトルロワイヤルの始まりだ!』
開始の声に続く他の神様たちのわれんばかりの歓声がとてもうるさい……。でも今は、どうやって勝つかを考えないと……。
2話目も読んでいただけた方がいましたらありがとうございますm(_ _)m