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第3話 はじめてのリハーサル

ついに新がバンドに加入しました!

某日の夕方。俺はバンドのリーダーさんに送られた場所に着いた。

着いたのは良いのだが、スタジオらしき場所が見当たらないのだ。

もしかして目の前にある雑居ビルに入ってるのかと思い、テナントの表記を見てみると、老舗の床屋と最近できたと思う歯科医院しかなかった。


その後、しばらく周りを歩いていたら、地下に続く階段があったので、降りて看板らしき物を見てみると、そこには探していたスタジオの名前があった。

少し錆び付いているドアを開けると、外観の割にはオシャレなロビーが待っていた。

すると、奥の廊下の方から、「お、来た来た。いらっしゃい」とリーダーさんがやって来た。

「付いてきて」

「あっ、はい。分かりました。」


ガチャ...... スタジオ特有の重いドアの向こうには、一般人が使うスタジオの倍広いリハーサルスタジオが待っていた。さすがに驚いたね。さすがバンドで稼いでるだけある。

それはそうと、メンバーの人達が自己紹介をしてくれた。


「脱退してない方のギター担当の富山光(とみやまひかる )。よろしく。」

「ベースやってる務台達(むたいいたる )やでー よろしくー」

「ドラム叩いている、久礼正治( くれいまさはる)っす。よろしくっす。」

「それで僕が雪之丞( ゆきのじょう)のいとこの桜井夕( さくらいゆう)だ。ちなみに、メンバーの名前は芸名で読んでくれ。 ま、芸名と言っても全員カタカナになっただけだけどな」

全員カタカナって、絶対ミッシェルの真似だとすぐに分かった。 まあ俺は斬新で好きだが。


「君にはリズムギターをやってもらいたいのだが、良いかい?」と桜井さんが急に真面目な表情になって頼んできたので、俺は「もちろんです」と良い子ぶった感じで言った。

「ありがとう! 早速だが、今新作のシングルを作っている。いや、作った。 そこで僕達のバンドは毎回シングルやアルバムを作る度に、色んなショッピングモールで発売イベントをしている。」

「つまり、営業ですか?」

「そうだ。そこで君にも参加してもらいたい。」

「良いですが、いつから始めるのですか?」

「それが、ちょうど一週間後だ。 それまでに君にはTAB譜を覚えてほしい。 でも安心してくれ、演奏するのは新曲と代表曲だけだ。 これがTAB譜だ これはもう自分の物にしてもらって構わない。」

「あ、はい。ありがとうございます。」

「それでは今日はもうここで帰ってもらって構わない。ありがとう。」

「あ、はい。これから一生懸命頑張ります。今日はありがとうございました。 では、さようなら。」

すると、そのスタジオにいたメンバー全員が「気をつけてな~」とか、優しい声をかけてくれた。

それで俺が扉を開けようとすると

「ちょっと待て!」

「何ですか!」

「名前聞いてなかったな」

「あ、僕は川瀬新です。」

「そうか」

なんだ。ただ自己紹介をしてなかっただけか。てっきり気にふれたのかと思い、ドキドキした。


****


家に帰ってきた。もうすっかり夜だ。お腹がすいていたので親が作ってくれているご飯を私服を脱ぐ前に食べてしまった。おいしい、やっぱり親の作るご飯は最高だな。


ご飯を食べ終わった後、俺はお風呂に入って寝ようと思ったが、そういえば明日は理科の小テストだった。なんとも言えない感情だ。

例えるなら、テストの日にペンケースを忘れた時のような感じだ。

仕方ないので、俺は覚えていない単語や公式をあくびをしながらも覚えた。


****


1時間くらい勉強をし、ついでに少しギターの練習をしてからお風呂に入り、ふとんに向かった。

ふとんに入った時、ひんやりと感じた。おかしい、電気毛布をいれたはずなのに と思いながら電気毛布のスイッチを見てみると、MAXの状態だった。 もしかすると... コンセントを見てみると、見事に挿していなかった。こんな事あるのかよ...... 仕方ないのでひんやりとした布団の中を耐えながら寝る事にした。


****


数日後、桜井さんにリハーサルをやりたいと言われたので、前のスタジオに向かった。

前と同じ地下に続く階段を降り、錆び付いている玄関のドアを開け、戸惑いも無いままスタジオの重いドアを開け、中に入った。

すると、ちょうど曲の演奏が終わったような感じだった。

「いらっしゃい。それではさっそく君にもリハーサルに参加してもらおう。」と桜井さんに言われたので、俺は、早速アンプとエフェクターを繋げた。

「それではみんな、もう一度音作りをし直そう。」

何か申し訳ない感情の中、音作りをした。


10分くらいかけて、ようやく音作りが終わった。意外と大変だった事を知った。


「では、リハーサルを始めよう。 一曲目は新曲のDistortedをやろうか。 川瀬君は譜面を覚えたかな?」

「大体は覚えました。」

「この業界に大体という言葉は通じない。覚えるなら完璧に覚えてくれ。 一応譜面を見ながらやってくれ」

初めて桜井さんの口から厳しい言葉を聞いた。


「ではいきまっすー 1、2、1234」という久礼さんのオープンハイハットのカウントで曲に入り、富山さんのゴツゴツに歪んだリフで始まった。その上に俺もゴツゴツのパワーコードを乗せるというカッコいいイントロの曲だった。

そしてサビ。言葉では言い表せない幻想的なコード進行。この時間が永遠に続けば良いと思った......


「一曲目良く出来てたよ! じゃ、2曲目行こか。 GET SEASON。」


この曲は紅白歌合戦に出場した時に演奏した曲だ。このバンドの代表曲だ。


イントロがどこかで聞いた事あるような感じで、サビがアッパーチューンなので、弾いていて気持ちが良い。


最後は俺のGコードで終わった。にしても、曲を聞いている方からすると長く感じるけど、弾いている方からすると短く感じる。多分これは個人によって違うかもだけど。


「川瀬君、意外とできてるじゃん! この調子でイベント頑張ろー!」

「はい!頑張ります!」



****



某日の午前5時。今日は珍しく早く起床した。と言っても、今日はイベント初日。 今回のイベントは直前のリハーサルが無いらしいので、一人で練習するしかない。 ということで刻一刻も本番が近づいているので、寝ぼけながらも練習する。


本番まで残り約6時間。

楽しみと緊張が心の中で交わる中、準備をして会場に向かう。







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