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パンに恋する30秒前

作者: 流田三

閲覧ありがとうございます。

文荒削りな部分があるかと思いますが、最後まで見ていただけると幸いです。

この世で出会えるのは奇跡だと聞いたことがある。

人が人生で出会うのは、何らかの接点を持つ人が3万人。

そのうち近い関係が3000人。さらにそのうち親しく会話を持つのが300人。

私自身、出会い方や、その出会いというのをどうカウントしているのかは分からないけど、

きっと、私にとってこの出会いは奇跡に近かったのだろう。


そう、本当に奇跡・・・。

ピピピピピッ

鋭いアラームの音とともにガラスの分厚い扉は開かれ香ばしい匂いが漂ってくる。

「今日も最高!」

こんがりと思っていた通りのきつね色に焼かれて出てきたパンを見て思わず頬が緩む。

「あ、この角度がいいかな。うーん、いやこの角度かも・・・」

両手の親指と人差し指でフレームを作って私は、今日のパンのペストポジションを探る。

「いやぁ、ほんとこの艶やかな光り輝く光沢!パターと牛乳、そしてほのかな甘さと発酵した酵母の香り・・・。

たまりませんなぁ・・・。」

パンの色や形匂いを堪能していた私だったが、急にバンッと店の扉を開かれる音がして急いで店に出ようとして思扉を開けようとした手が止まった。


ちょっと待て、私!

今日は定休日で、休日という看板を出していたはず・・・。

今日は自分に納得が行くぐらい自由にパン作りをする日にしていたのだ。

第一にパン、第二にパン、そして第三にパンの私に知り合いなぞ、近所の常連さんしかいないぞ。

特に近所の常連さん、どこから情報仕入れているのか。

私が思う存分に集中してパン作りする日と認識しているらしく絶対、来ないのだ。

まぁ、作りすぎて毎回近所に配っているからかもしれないが。


そんなことより、とりあえず見るしかない!

そろっと工房から来ていたエプロンなどを取り外し丸い扉から眺める。

うーん。変わった様子はなしかな。

えーいこうなったら、突撃じゃい。店に続く扉を開くと・・・


入り口近くに、パンの焼き色のように香ばしい色した毛がもじゃもじゃになっていて、

白い布が繋がっている・・・って人ではないか!

「大丈夫ですか!パンみたいな人!」

「・・・ぱ・・ん・・みたいでは・・ない」

パンみたいではない?じゃあパンなのか!

私はだいぶ混乱していたのだろう。とりあえず、返事が返っていたことに驚き気づけば。



パンを差し出し、それを頬いっぱいに頬張るイケメンを目の前にしていた。

このイケメン、先ほど数時間前まで店先で倒れていた通称パンさん(私が勝手に呼んでる)である。

見事な私好みのパンのベスト焼き色な髪、(たまらん)そして肌はパンのように白く、目はクリームパンのカスタードクリームのように黄色く光沢があり、澄んでいた。


「それで、パンさんはなぜ、我がパン屋へ来られたのでしょうか。」


「それもゃもしゃおもぐもしゃっかもしゃっすもぐもしゃったもしゃっに・・」


 頬張りすぎて、言葉の大半「もぐもしゃっ」になってますよ。パンさん。

「パンさん。食べ終わってからもう一度お願いします。」


その言葉に、パンさんは納得したのか。ゆっくりと頬張ったパンを味わい消化し、話し出したのは

食べてから30分過ぎた辺りであった。

「パン、うまかったありがとう。すまない。待たせてしまった。なぜここにきたのかということであったが、正直、私はここがパン屋だとは知らなかった。ただ、お腹が空きすぎて死にそうになっていた時にとても美味しそうな匂いに誘われてな。夢中で足を運んでいたんだが、扉近くで力尽きて意識がなくなっていて気づけば店の中に・・・。」


「なるほど、匂いをたどってきたらここに、そして私のうっかりだけど玄関開けたままだったから入り口で扉に倒れて中に入っていたと。」


「すまない・・・」

パンさんは目からクリームが出てしまうのではと思わず心配してしまうほど歪ませ、申し訳なさせうにしている。


「パンさん。ありがとう。」

私は思わずそう言った。だって、パンさんに美味しそうな匂いに誘われてって言われて嬉しかったんだ。そして同時に反省した。本当に私は今まで何を見てきたんだ。パンに対して私自身が納得する色や形、美味しさと言った技術ばかりに目が向いてたのではないか。何より大切なのは、食べてもらう人が美味しいって言ってもらえることじゃないのか。私はパンさんの言葉でこれに気づかされた。


パンさんは、これでもかとぎゅうぎゅうに詰められたクリームパンのクリームのように目を見開いて驚いていた。

「なぜ。ありがとうと?お礼を言うのは私の方ではないか?」


「いいやパンさん。違うよ」


「なぜ?」


「パンさんは、私に大切なことを教えてくれた。そう、出会いに感謝しているんだよ。」

ふふふっ、もっとパンの魅力をみんなに知ってもらわないとね。顔が自然と緩んでくる。


なぜか、パンさんは私の顔を見て、まるでいちごジャムをぬられたみたいに赤くなってたけど。


「ねぇパンさん。行くとこはある?」


「ないが・・・、仕事も住むとこもないからな。」


「ちょうど、ここにパンがあります。そして私は、パンが好きで、作るのはすぎですが、会計が苦手なのです。

ここのレジ担当空いてますが、どうします?」


「・・・・・・引き受ける」

なぜか、またパンさんは顔をいちごジャムのように赤くして言うのだった。



きっとこれから、パンさんとともにこのパン屋でもっと私はパンに恋して、楽しく生きるのだろう。


                                            fin

最後まで見ていただきありがとうございます。

 文章の中で出てくる、人生の中で出会う人数は個人差があります。

そのため、からなずこの人数と決まっているわけではありません。

一つの捉え方としてお考えいただけると嬉しいです。

 

結構、無理やり終わらせた部分もあり見苦しかったかもしれません・・・。

短編集としてこの話で終わりとなりますが、反響があったら続編書くかもしれません。

ありがとうございました。



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