生徒会長
今日二本目です
花蓮は起きてからすぐに着替えて、学園に向かった。
とは言っても、寮なので校舎までの距離などたかが知れてると思い、いつも通り歩いていたのだが想像以上に校舎が遠かった。
夢の中で閃と話しすぎたことを少しばかり後悔している花蓮であった。
だからといって、入学式のように走るわけではなく、普段のペースで歩いていた。
「閃と長く話しすぎたな、朝の訓練する暇なかった」
と、独り言を呟いた。
すると後ろから声がかかった。
「あら、10天第8席薄氷花蓮様ではないですか。こんなところで何をしていらっしゃるの?」
後ろを振り向くと、生徒会長と副生徒会長らしき人物がいた。
その両方が帯刀、帯剣をしていた。
「あーここ広すぎて迷子?ってわけでもないから、んーなんなんだろうな?」
「俺たちに聞かれても困る。それより、その態度。この方が誰だかわかっているのか?」
副生徒会長らしき人物が話し出した。
「この方はこの学園の現生徒会長だぞ」
「あぁ、知ってるが?」
花蓮はなにを当たり前のことを言ってるんだ、と思いつつもそう答えた。
「き、貴様10天入りしているからと言って調子に乗りやがって…」
男は腰に携えていた刀を手に掛け、所謂、居合の型に入った。
「やめなさい、大和」
このピリピリした雰囲気の中、花蓮はこの人大和って言うんだとなんとも能天気なことを考えていた。
「で、ですが…」
「やめなさいと言っています」
「はい……」ギッ
大和はかなり悔しいようでかなり強く歯ぎしりをしながら手を元の位置に戻した。
「申し訳ありません、校舎でしたらこの並木道をまっすぐ行かれますと入学式の会場だった体育館がありますのでそこを右に曲がりますと、突き当たりが校舎になっております。なお、1年生の階は3階になっています。」
大和歯ぎしりがこの生徒会長に聞こえたのかどうかは定かではないが、淡々と校舎までの道のりを教えてくれた。
「ありがとう、これからよろしく」
「はいよろしくお願いします、あ、名乗り遅れて申し訳ありません。私、天照・フォン・美希と申します。美希とお呼びください。漢字は同じですが、アマテラス家とは関係ありませんので。」
ギッ
最後の一言には少し棘を感じたのだが、聞いたらややこしいことになりそうだったのだ花蓮はグッと飲み込んだ。
花蓮は歯ぎしり関して完全にスルーした。
「あぁ、こちらこそ、俺は薄氷花蓮だって知ってるか…まぁ色々ありがとうな、また頼らせてもらう」
「ッ……は、はいわかりましたいつでも頼ってください」
「じゃあな」
可愛いな、と思いつつ、言われた通りに並木道に沿って校舎へ向かって歩いて行った。
「……少しは殺気を抑えろよ、思わず殺しそうになった」
花蓮は美希の後ろでずっと花蓮のことを睨みつけながら目を血走らせていた大和のことを考えながらそう呟いた。
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