第64話
「クッ……ククク」
ビショップが急に笑い出した。
「あら、いやだ。こんな真剣勝負の場で」
ビショップは、わざとらしく口元に手をやった。しかし、戦いの最中ということを思い出したのか、すぐに元の構えに戻した。白々しさにスカイはムッとして、武器をまとった腕に力がこもり、こわばる。
それを好機と、見逃さなかったビショップはそのまま銃弾のラッシュに入る。予備動作がないのではと思うほどの滑らかなスタートだった。
こわばっていたスカイの腕は、脳からの電気信号にすぐさま反応することは叶わなかった。しまったと声に出す暇すらなく、銃弾がスカイのいたるところに赤を引いていく。ワンテンポ遅れて、傷口から血が流れ出す。
「チッ……!!」
サイをまとった腕ですべての銃弾を弾くことは難しい。
普通の銃なら銃弾を込める必要があり、その時にラッシュは途切れる。だが、サイの銃は理論上は弾を込める必要がなく、ラッシュは途切れない。
だが、それはあくまで理論上の話。
銃で狙い撃ち続けながら、サイで新たに銃の中に弾を作り続ける。どちらもかなりの集中力を使う。それを長時間続けることは、それこそ化け物でない限り無理なことだ。
しかし、ビショップのラッシュは終わる気配を微塵も見せない。が、急にラッシュが弱くなる。片方の銃は火を噴いていない。
「あら、弾詰まりしちゃったわ。でも、あなたのチャンスじゃないわよ」
弾が詰まったらしい銃を足下に落とすと、すぐに新しい銃を作り出す。ラッシュが勢いを取り戻したが、スカイの体力はなくなる一方だった。
「残念ね」