第62話
「んなこたぁ、自分で考えろってんだ。おらよっ、とぉ!」
どうやら、レイピアを自分のサイで絡め取ったらしい蒼――ではない誰か――が、自分のサイごとレイピアを地面へと叩きつけたようだ。
「俺の仲間に手ぇ出してんじゃねぇよ。躊躇なしに切り裂くぞ?」
蒼はクイーンと戦ったときと同じような2つの鉤爪を作り出した。が、配色が違う。黄色地に、黄緑で紋様が刻まれていた。
「あら? あなたが噂に聞く、“天空界の守護神”? ふーん……」
ニヤリと楽しそうに笑む。ビショップ特有のSっ気の混じった、憎たらしいほど、眩しく感じる笑顔だ。
「天空軍、第零部隊隊長、SKY……でしたっけ? あら、私が言うべきことじゃなかったわね?」
「ぁん?」
クスクスと笑うビショップ。何がおかしいのか、大爆笑とまではいかないが前屈みになって笑っている。
ピンと背筋を伸ばすと、ビショップは開口一言。
「知りたいなら教えてあげてもよくってよ、部下に逃げられた隊長さん?」
それを聞いた蒼――スカイは、一瞬きょとんとした後に爆笑し始めた。その様子に、ビショップが目を細める。
「何がおかしくって?」
「いやー。別に、何言ってんのこの人って思っただけだぜ? 俺はさ、部下に逃げられた経験ねぇからさ。つーか、天下のスカイ様だぜ? 逃げるほうがおかしいって。……敵以外はな」
スカイが鋭い目付きでビショップを睨む。いつでも攻撃できるような構えをとりつつ、ニヤリと笑む。
「おかしいわね。私のボスは、元あなたの部下って聞いたけど?」
ビショップは武器を作り替え、銃を構えた。
「修行のために休暇とっただけじゃねぇの?」