第61話
「はぁっ!」
「……」
ポーンはゴツい槍を軽く持ち上げて攻撃を受けると、横を浮遊する球体を攻撃手へと突撃させる。 攻撃を繰り出したギアは球体に当たり、横方向にぶっ飛ばされる。
「くっ……!」
着地したその横でノームとエリーが、サイでできた人と戦っている。
「スゴいわね。サイをここまで同時に操れるなんて…… やっ!」
フライパンで戦うエリーもすごい気がするが、ポーンのサイを同時に扱う技術は相当な物だった。普通のサイ使いが同時に動かせる量と桁違いだろう。普通ならば、戦いつつサイの人形1つを動かすことですら難しいのだから。
「でも…… 本体さえ倒せば……!」
本体が倒されれば、サイの人形も消える。当たり前のことだが、ポーン相手に限り、それは簡単なことには思えなかった。サイ人形を動かす隙すら見当たらないのだから。
言葉を発したノームも例に漏れず、サイ人形に苦戦を強いられていた。人間とは違って予備動作というものがなく、いきなり殴りかかってくる。かと思えば、腕が刃物に変わり、切りつけてくる。まるで、思考を持っているかのような動きを繰り返すのだ。
ノームはナイフの持ち方を変えた。逆手に持ち、敵をにらむ。
「土遣いの構え。犬猫の本気、見せてやらぁ」
闘志に包まれるノームの背後、ギアも決着に向けて意識を整えていた。
「エリー、ノーム。戦いが終わったら、俺の目を醒まさせてくれ!」
大声をあげると、その場で獣へと変化を始める。大地から風が吹き上げる、そんな不可思議な現象が再び起きていた。