第57話
光の粒がビショップの手に集まり、その左手に黄色の武器を形成した。女性の手には重いであろう、ゴツい銃だ。
それを見た蒼たちは、各々武器を作り出す。鉤爪、斧、三節昆。どれも白兵戦向きの近距離武器。リーチ差的に蒼たちは不利だ。
「……やめたわ」
ビショップの銃は光の粒子に戻り、宙を漂う。1呼吸分の時間の後、再びビショップの手に武器を生成する。
「あたしだけ銃だなんて、卑怯じゃない? あたしは“公平”な戦いが好きなの」
“公平”を強調するようにハッキリと発音したビショップの手には、細身の剣が2本握られている。それは斬ると言うよりも、突くための剣――レイピア。
「さぁ、始めましょ?」
足音だけが響く。蒼たちのチームとは違い、ギアたちのチームに会話はない。
進む先に1つの影が現れる。現れたのは――
「久しぶりだネ、ギア」
「――マックス……!」
ギアがどこか憎しみの混ざった表情に変わる。
「知り合いなの?」
「ああ…… 知り合いガル」
エリーの問いに、表情を変えずに答えるギア。
「ポーンだって言ったよネ? まあいいヤ。じつはサ、戦いに来たんダ」
ポーンの手には、いつの間にか例の仮面が握られている。シンプルなのに、どこか特徴的な雰囲気を持った仮面。――ポーンが、本気の戦いをするときにだけ付ける仮面が。
その仮面を身に付けて、武器の生成をする。生み出したのは、槍。横に斧もついている戦闘用のゴツい槍。
「本気で戦おウ? ボクはそのために来たんだからサ」