第55話
「どうする? みんな分かれていくか、全員まとまっていくか」
「銀介は1人にしたらダメ」「方向音痴のくせに」
「はうっ!」
言葉の槍が銀介につき刺さる。涙目になった銀介はわざとらしく「えーん」とか言っている。
「数人ずつのチーム行動にすればいいのではないですか?」
「それだ! それでいいな、うん」
ウンディーネの提案に、銀介が乗っかり、強引に話を進めようとする。さっきの言葉の槍は意外と深く刺さっていたようだ。
「えっとじゃぁ……。オレと蒼とウンディーネ、エリーとギアとノームの2チームでいいか?」
「あら? 2手に分かれたようね。まったく、こっちのことも考えてほしいわ。そうね…… ポーンとビショップの2人に出てもらいましょうか」
城の1室で透し見をしていたクイーンが口を開いた。近くにいる仲間に指示を出し、再び口を閉じた。
「はーい、分かったヨ」「ズタボロにしてきてもいいかしら?」
2人は指示を素直に聞きとめ、それぞれの目的へと歩き出す。言葉が足りなくても、2人には伝わったようだ。
「さぁ……。もうすぐでショーの開幕よ? ウフフ」
「多分って…… どういうこと?」
「昔の銀介を覚えているか、白狐?」
白狐は少し上を向いて考えて、口を開いた。
「髪の短かった頃の? 覚えてるけど、なんで?」
「あの頃の髪の短さの銀介だったんだ。オレたちがいないうちに、切ったのか……?」
「それはないと思う。あれって、確か何かの願掛けとか言ってたと思うんだけど」
「願掛け?」
白狐はうなづいて銀色の瞳を細めた。