第5話
「速い!!」
とっさに、左手と右手に出した盾で受け止めた。黒夜叉は、受け止められるとすぐに剣をひき、刃を交差させて武器を変えた。今度は、死神なんかが持っていそうな黒い鎌だ。
その鎌を振り上げたとき、僕は無意識に前に出て鎌の持ち手の部分を斬った。カランと、鎌が落ちて黒夜叉が止まった。が、すぐに新しい武器をとりだした。今度は、クナイのような物を6本出だ。
それを片手に3本ずつかまえ、鉤爪のように切りかかってきた。それを避けながら、右手の盾を剣に変えた。光が集まって、ひじから指先まで約1秒で包まれた。右手が剣に変わると同時に、黒夜叉がクナイを投げてきた。
「クッ!!」
両手でクナイを払い落とす。顔を上げると黒夜叉が目の前にいた。クナイに気をとられているうちに近づいていたようだった。ポンと頭を叩かれた。
「すごいよ…… この歳でここまで出来るとなると」
「そ…… そうですか?」
「ああ、これぐらい出来れば……」
不意に補強されていた部分のクリスタルが壁と共に割れた。その割れた壁の後ろに何かがいた。その何かが、羽を羽ばたかせながら入ってきた。
「な…… 何だぁ!?」
「似てる…… あの時と」
「は?」
展開が速すぎてついていけない。黒夜叉の隣にいたノームは歌うように短くなき、その隣に青い目の大鷲が降りた。
「キー!!」
大鷲が翼を広げ、鳴いた。大鷲の下から水が吹き上がり大鷲の姿が見えなくなった。しばらくして水が消えると、後ろで縛った綺麗な金髪、さっきの大鷲と同じ青い目をしている、1人の女性が立っていた。
「私はエレメンタルの1人、ウンディーネ」
「エレメンタル!? じゃあ……」
「あなたの思っている通りです、玄さん」
ウンディーネが近づいてきた。
「おいおい…… ウンディーネ。蒼がついていってねーぞ」
「ノーム。いつの間に、元に」
「さっき」
ぶかぶかのズボンに、黒の半袖、ニット帽という服装でいかにもブレイクダンスなんかをしていそうな感じだ。よく見ると結構カッコイイが、やる気がなさそうな感じのせいでパッと見、かっこよく見えない。
「蒼。まぁ、今知っといた方がこの話ついていけそうな事だけ話しとくからな。まずは、スピリットとエレメンタルの違い。スピリットは、オレらが動物とかの姿になっているとき。エレメンタルは、人型んとき。ああ、サイ使えんのはエレメンタルんときだけだな。違いは他にねーなー」
「ノーム、間違っています。正式には、サイもどきです」
「どっちも同じだろ。あとは契約な。まあ、コレはいわねー方がいいな。ウンディーネが教えてくれると思うぜ。ま、こんぐらいでいいかな。分かんねーことあったら、教えてやるぜ」