第47話
「準備はできたか?」
定刻通りに集まったメンバーに声をかけた。
皆は神妙な顔つきでうなづくことで、その強い意志を銀介に返した。
「行くぞ……!」
目的地の運命の樹が見えてきたところで、大樹の下で人影が見えた。
「人……?」
その声に気付いたのか、ゆっくりと蒼たちの方へ視線を動かした。
「やれやれ、やっとお出ましか」
体を預けていた木から、スッと体を浮かす。細身の男だ。
「準備が整うまで、お前たちの相手してろって。オレのワガママな姫さんからの命令」
数歩歩みを進め、ルークは軽く礼をした。
「オレはルーク。よろしく」
ルークは顔を上げると、ニッと笑った。顔の左側を仮面でおおっている。
「さすがのオレも、この大人数を一気に相手できるほど能力は高くねぇんだ。誰から戦ってくれんの?」
「……」
蒼たちは全員、武器を構えた。
「おいおい。一気に相手できねぇつったじゃん? 遊びなんだしさ、気楽にいこーよ」
ルークの武器は剣と盾が一体化した、いわゆる“マインゴーシュ”のような武器だ。
「……オレが行くガ」
「ギア……」
歩みを進め、ギアは振り返って蒼たちをジッと見た。
「早く先に進むべきだガ。本気出す」
ルークを見直して、大きく呼吸をする。
闘気とでも言えるようなものがギアを包む。蒼とギアがポーンにあった時のように、ギアの居る辺りから風が吹き上がる。
「ペッペッ。口ん中に砂入った……」
「……銀介さん……」
その闘気がはじけると、そこには――
《本気で戦うガ》
―-いつものギアは居なかった。