第46話
「はい!」「おう!」「やるガ!」
おのおのが返事をした。そして、奪還作戦の準備が始まった。
「皆、準備をしているようね。ルーク、あなたも準備なさい」
「はいよ。運命の樹前で合図あるまでの時間稼ぎだな?」
ルークがクイーンに最終確認をした。
「頼んだわよ」
感情のこもっていないクイーンの返事にルークは肩をすくめた。
「運命の樹で俺たちの運命は決まる……か」
「なので、増員を……」
《それは信用できないな。他のところも人数不足のなかがんばっているんだよ。君たちのところにばかり人手を派遣することはできない。失礼、時間がきたようだ》
ブチッツーツーと電話からむなしくも、音が流れてくる。
銀介はやるせなく思いながらも、受話器を元の位置に戻した。
電話の相手はサイ使いを束ねる組織の長。内容は「強敵が現れて、それを倒すための人員増強の要請」であった。しかし、それはたった今断られてしまった。
「所詮は中間管理職か……。あいつらにばっかり負担がいくな。……ほんと、あいつらをボロボロにしか出来ないなんてつらいよ……」
銀介は黒夜叉と白阿修羅を人質にとったのはクイーン――桃香だと考えていた。そして、桃香ならば次に両者の総力戦へと持っていく。だからこその人員増強の要請だったのだ。
「実力者2人がいない今、やつらに勝てるか……? いや、勝ってみせる! 絶対に勝てる!!」
……根拠はない。だが、銀介はそう宣言した。自分の直感を信じて。