第45話
ギアの持ってきた色あせた地図によると、ムー大陸の中心は森林になっているようで、ちょうど前にクイーンと戦った大木あたりのようだ。
「ここ?」
それなりな大きさの木が群生しているのか、その大木を中心に地図上に大きな魔方陣がしかれているようにも見える。
「そうだガ。この大木が大陸の中心だガ」
「……運命の樹」
「え?」
蒼がポツリと呟いた。
「運命の樹、ですよね? 大陸の心臓って言われている」
「そ、そうガ」
驚きながらもギアはうなづいた。
「その運命の樹で僕たちの運命は決まる……。って、何言ってるんでしょうね、僕?」
まるで全てを知っているかのような口ぶりに、蒼自身が驚いた。笑って誤魔化すも、驚きが隠しきれない。
「蒼、お前記憶戻ってきてるんじゃないのか……?」
蒼の動揺に気づいたのか、銀介がそう切り出した。
「え……?」
少し、昔の記憶を思いだそうとした蒼は頭痛に阻まれ、その行為を諦めた。思いだそうとする行動を止めたとたん、するすると頭痛が退いた。
「……いや、そんなことないです」
「そうか……。なんとなくだけど、お前の記憶が戻ってるような気がしたんだよな」
銀介は最後に「シックスセンス的に」と笑いながら付け加えることを忘れなかった。
「まぁ、話は脱線したが、その運命の大木とやらに向かえばいいんだよな?」
「運命の樹ですってば」
あえて誰も「話を脱線させたのはお前だ」とは言わなかった。かわりに、次の言葉にゆっくりとうなづいた。
「COLOR全人員は準備が整い次第、ムー大陸の中心へと向かう。集合は1時間後。黒夜叉と白阿修羅――玄と白狐の奪還作戦といこうか!」